てんかんがある人の服は、締め付けが少なく、本人または介助者が短時間で脱ぎ着させやすいものが適しています。前開きのトップス、ゴムウエストのボトムス、面ファスナーやスナップボタンなど、扱いやすい留め具を選ぶと着替えの負担を減らせます。
ただし、服だけで発作を防ぐことはできません。発作中の安全確保や介助のしやすさを考え、本人の発作の種類、動きやすさ、感覚過敏、失禁の有無などに合わせて選ぶことが大切です。
てんかんがある人に向く服の特徴
選ぶときは、「締め付けない」「すぐ開けられる」「引っかかりにくい」の3点を基準にすると判断しやすくなります。
| 見るポイント | 向いている服の例 | 選ぶ理由 |
|---|---|---|
| 着脱方法 | 前開き、全開き、スナップボタン、面ファスナー | 頭からかぶる動作や細かいボタン操作を減らせる |
| ウエスト | ゴム、ひも、調整しやすいウエスト | 腹部を締め付けにくく、着替えを急ぎやすい |
| 首元 | ゆとりのある丸首、前開き、伸縮性のある襟 | 首元をゆるめやすく、介助の妨げになりにくい |
| 素材 | 柔らかく、伸縮性があり、肌当たりのよい素材 | 動いたときの負担や肌への刺激を減らしやすい |
| 形 | 体に密着しすぎない、裾や袖が長すぎない形 | 動作や介助のときに引っかかりにくい |
トップスは前開きで、首元をゆるめやすいもの
トップスは、シャツ、カーディガン、前開きのパジャマなど、前面を大きく開けられるものが使いやすい傾向があります。発作後に本人が自分で着替えにくい場合も、介助者が袖を通したり、首元を確認したりしやすくなります。
留め具は、大きめのスナップボタンや面ファスナーなど、片手でも扱いやすいものが候補です。小さなボタンが多い服や、背中側で留める服は、本人の手の動かしにくさや発作後の状態によっては着替えに時間がかかることがあります。
タートルネック、細いひもが首元にある服、きついネクタイなどは、首元をすぐにゆるめにくいため、普段着や外出着として必要かどうかを本人の状態に合わせて検討します。
ボトムスはゴムウエストで、座ったまま着替えやすいもの
ズボンやスカートは、ファスナーやボタンを何度も操作しなくても着脱できる、ゴムウエストのものが便利です。伸縮性のある素材で、座った姿勢でも足を通しやすい形を選ぶと、発作後や体調がすぐれないときにも着替えやすくなります。
ベルト、硬いウエスト部分、きつい補正下着などは、腹部を締め付けたり、介助時に外す手間が増えたりします。使用する場合は、本人が苦しくないか、座ったときに食い込まないかを確認してください。
裾が長すぎるズボンや、床に引きずるスカートは、歩行時や移動時に踏みやすくなります。長さは、立った状態だけでなく、座る、歩く、階段を使うときにも確認します。
発作中や発作後の介助を妨げにくい服を選ぶ
発作が起きたときは、服を脱がせることよりも、周囲の危険物を遠ざけ、頭の下に柔らかいものを置き、動きを無理に止めないことが基本です。首元がきつそうな場合は、可能な範囲で襟やボタンをゆるめます。
発作中に、口へ物を入れたり、無理に押さえつけたり、飲み物や薬を飲ませたりしてはいけません。発作が収まった後に呼吸を確認し、眠気や意識の状態に注意しながら、必要に応じて横向きにします。
そのため、服は次のような条件だと介助の妨げになりにくいです。
- 首元を簡単にゆるめられる
- 硬い装飾や尖った金具が少ない
- ベルトや細いひもが体に食い込みにくい
- 発作後に汗や失禁があった場合、部分的または全体を着替えやすい
- 袖や裾が長すぎず、移動時に引っかかりにくい
避けたほうがよい服や装飾品
すべての人に禁止される服があるわけではありませんが、次のようなものは、着脱や介助のしやすさを下げることがあります。
- 首を強く締めるタートルネック、ネクタイ、スカーフ
- 小さなボタンや複雑な留め具が多い服
- 体に密着しすぎる服や、硬い補正下着
- 長いひも、細いストラップ、引っかかりやすい装飾
- 硬い金具、尖った飾り、重いアクセサリー
- 裾や袖が長すぎて、足元や周囲に絡みやすい服
これらが直ちに発作を起こすという意味ではありません。発作時の安全確保や着替えの負担につながる可能性があるため、本人に必要かどうかを考えて選ぶということです。
外出時は「本人が着られるか」と「介助者が外せるか」を確認する
外出用の服を選ぶときは、見た目だけでなく、発作後に本人がどの程度動けるかを基準にします。発作後にぼんやりする、手が動かしにくい、歩行が不安定になることがある場合は、普段より簡単に着脱できる服が向いています。
購入前や着用前に、次の動作を試してください。
- 座ったまま、トップスの前を開け閉めする。
- 片手だけでボタン、面ファスナー、ファスナーを扱う。
- 靴やズボンを、ふらつかずに着脱できるか確認する。
- 首元、袖、裾、ウエストに締め付けや引っかかりがないか確認する。
- 本人が難しい場合は、介助者が短時間で外せるかを試す。
実際に試して負担がある場合は、留め具の少ない服、前開きの服、伸縮性の高い服に替えます。発作後に失禁することがある場合は、着替え一式を取り出しやすい袋にまとめておくと対応しやすくなります。
子どもや介助が必要な人は、生活場面ごとに選ぶ
子どもや自分で着替えることが難しい人は、通園・通学、睡眠、外出、入浴後など、場面ごとに服の条件を分けて考えます。学校や施設で介助を受ける場合は、本人だけでなく、介助する人が扱える留め具かどうかも確認します。
感覚過敏がある場合は、タグ、縫い目、ゴムの強さ、素材の刺激が負担になることがあります。脱ぎ着のしやすさだけでなく、本人が普段から無理なく着られることも重要です。
発作の種類や発作後の様子は人によって異なります。服装について迷う場合は、診察時に「発作中に首元をゆるめやすい服」「発作後に着替えやすい服」について、本人の発作の特徴に合わせて医師や看護師へ相談してください。
選ぶときの結論
てんかんがある人の脱ぎ着しやすい服としては、前開きトップス、ゴムウエストのボトムス、柔らかく伸縮性のある素材、首元をゆるめやすいデザインが基本的な候補です。
最初に、本人が座った状態で着脱できるか、介助者が短時間で開けられるかを試してください。服は発作を予防するものではないため、服装の工夫とあわせて、本人の発作時の対応方法も家族や周囲の人で共有しておくことが大切です。







