てんかんがある人の衣類のボタンはどう工夫する?

てんかんがある人の衣類のボタンはどう工夫する?

てんかんがある人の衣類のボタンは、留め外しのしやすさと、発作中・発作後の安全性を基準に工夫します。前開きの服に変える、ボタンを面ファスナーやスナップに替える、大きめの引き手を付ける方法などがあります。

ただし、てんかんの発作の症状や本人の動かしやすさは人によって異なります。発作が起きていないときに、本人が自分で着替えられるか、介助者が着替えを手伝うのかを確認して選びましょう。

衣類のボタンを工夫するときの基本

まずは、ボタンを「外しやすくする」だけでなく、発作時に首や胸を締め付けにくいこと、着替えに時間がかからないことも確認します。

  • 前開きで、衣類を大きく開けられるものを選ぶ
  • 小さく硬いボタンより、大きくつまみやすい留め具を選ぶ
  • 首元や胸元がきつくならないデザインにする
  • 片手でも操作しやすい留め方にする
  • 本人が普段から使えるか、落ち着いているときに試す

発作中に服を脱がせる必要があるとは限りません。発作が起きたときは、衣類のボタンを無理に外そうとするより、周囲の硬い物を遠ざけ、頭の下に柔らかい物を置くなど、けがを防ぐ対応を優先します。

ボタンの代わりに使える留め具

衣類の状態や本人の手の動かしやすさに合わせて、次のような留め具を選べます。どれが向くかは、操作に必要な力と、本人が留め具を認識しやすいかで変わります。

留め具 向いている場合 確認したい点
面ファスナー 指先で小さなボタンをつまむのが難しい場合 着脱しやすい一方、肌に直接触れない位置に付いているか確認する
スナップボタン ボタン穴に通す動作が難しい場合 押す力が必要なため、本人が片手で操作できるか試す
大きめのボタン ボタン自体は使えるが、通常のボタンが小さい場合 ボタン穴がきつすぎず、布を引っ張らずに留められるか確認する
ファスナー 一度の動作で前を開閉したい場合 引き手をつまみやすい大きさにし、首や皮膚に当たらないか確認する
ゴムやかぶり式 前を留める動作そのものを減らしたい場合 頭や肩を通しやすく、首元がきつくないか確認する

留め具を変更する場合は、服の生地や縫い目が引っ張られて破れないかも見てください。市販の補助具を使う場合も、装着後に皮膚へ当たる部分がないか確認します。

本人がボタンを留めにくい場合の具体的な工夫

手の動かしにくさや発作後のぼんやりした状態がある場合は、ボタンを大きくするだけでなく、操作の手順を減らすことが重要です。

前開きの服を選ぶ

頭からかぶる服より、前側を開けられるシャツやカーディガンのほうが、着替えや介助をしやすいことがあります。発作後に本人が横になっている場合も、前開きの服のほうが着替えの負担を減らしやすい方法です。

引き手を大きくする

ファスナーやボタンに、布テープなどで輪を付けると、指先で小さな金具をつまみにくい人でも操作しやすくなる場合があります。輪が長すぎると周囲に引っかかる可能性があるため、衣類の中に収まり、首や手に絡まない長さにします。

留める場所を減らす

すべてのボタンを使う必要がない場合は、上から下まで細かく留めるデザインより、面ファスナーやスナップで少ない動作で閉じられる服を選びます。見た目を保ちたい場合は、外側に飾りボタンを残し、内側の留め具を変更する方法もあります。

左右どちらの手でも使える配置にする

発作後などに片側の手が動かしにくくなることがある場合は、利き手だけを前提にしないことが大切です。本人が落ち着いているときに、左右それぞれの手で留め外しできるか試してください。

発作中にボタンを外すときの注意点

発作中は、衣類のボタンを無理に外したり、体を押さえ付けたりしないでください。首元がきつそうな場合でも、発作の動きを止めようとせず、可能な範囲で首周りをゆるめ、周囲の危険物を取り除きます。

  • 周囲の家具や硬い物を離す
  • 頭の下にタオルや衣類など柔らかい物を置く
  • 眼鏡など外せる物は無理のない範囲で外す
  • 発作の動きを押さえない
  • 口に物や指を入れない
  • 発作が終わるまでそばで様子を見る

発作が5分以上続く、発作が繰り返して意識が戻らない、呼吸が戻らない、けがをしているなどの場合は、地域の救急要請の基準に従って対応してください。本人の発作時対応計画や主治医からの指示がある場合は、それを優先します。

衣類を選ぶ前に確認すること

ボタンの工夫だけで解決できるかどうかは、発作の種類や頻度、発作後の状態によって変わります。次の点を本人や家族、医療・介護の担当者と確認すると選びやすくなります。

  • 自分で着替えるのか、介助者が着替えを手伝うのか
  • ボタンを留める動作で、どの部分が難しいのか
  • 片手だけで操作する必要があるか
  • 発作後に意識がぼんやりする時間があるか
  • 首元が締まる服や、引っかかる部品がないか
  • 洗濯や乾燥を繰り返しても留め具が外れないか

発作の後に長く着替えられない、衣類の着脱で転倒しそうになる、ボタンの部品が皮膚に当たるといった問題がある場合は、作業療法士や主治医、介護用品の相談窓口に相談すると、本人の動作に合う方法を検討できます。

てんかんがある人のボタンの工夫を決めるポイント

最初に試しやすいのは、前開きで、首元がゆったりし、面ファスナーや大きめのスナップなどで少ない動作で開けられる衣類です。ただし、留め具の種類だけで決めず、本人が落ち着いているときに実際の着脱を試してください。

発作中は衣類を無理に脱がせることより、周囲の安全確保を優先します。発作の症状や着替えの難しさに合わせて、必要なら医療・介護の専門職と衣類の形や留め具を調整しましょう。