てんかんのある人が浴室で使う滑り止めマットは、濡れてもずれにくく、端がめくれにくく、床の水を排出しやすい薄型タイプを選びます。ただし、マットを敷けば転倒や発作時の事故を防げるわけではありません。発作の起こり方や入浴方法に合わせて、浴槽内に敷くのか、浴室の床や出入口に敷くのかを分けて考えることが大切です。
てんかんのある人向けの浴室マットを選ぶポイント
濡れた床でもずれにくい
裏面に滑り止め加工があり、浴室の床材に合うものを選びます。吸盤付きでも、床の凹凸や水分によって十分に固定できないことがあるため、購入後は実際の浴室で端からずれないか確認してください。
マットを手で軽く押したときに動く、歩くとたわむ、端だけ浮く場合は使用を続けないほうが安全です。発作が起きたときだけでなく、立ち上がりや方向転換の際にも転倒の原因になります。
薄く、端がめくれにくい
厚みのあるマットや、縁が反り返るマットは、足を引っかける可能性があります。床との段差が小さく、端が平らに収まる薄型を選びましょう。
ただし、薄ければ必ず安全とは限りません。薄型でも柔らかすぎて波打つものは、足元が不安定になるため避けます。
水がたまりにくく、乾かしやすい
表面に水が残り続けるマットは、滑りやすさやカビ、においの原因になります。水抜き用の穴や溝があり、使用後に立てて乾かせるものが適しています。
毛足の長いバスマットは水を含みやすく、乾燥に時間がかかることがあります。浴室内で使う場合は、吸水性だけでなく水はけと洗いやすさを優先してください。
発作時に割れたり、硬い角ができたりしない
硬い樹脂製の板や、角が鋭い製品は、転倒時に体をぶつける危険があります。角が丸く、割れにくく、床に密着する素材を選びます。
一方で、柔らかい素材でも、折れ曲がったり丸まったりすると足を取られます。柔らかさだけで決めず、形が保たれるかを確認してください。
浴槽の中に敷くマットは慎重に選ぶ
浴槽内で立ち上がる、またぐ、姿勢を変える動作がある場合は、浴槽内マットがかえって足を取ることがあります。特に、吸盤が外れて動くものや、端が浮くものは使用しないでください。
浴槽内で発作が起こる可能性がある人は、滑り止めマットだけで安全を確保することはできません。浴槽につかる入浴よりもシャワーを中心にする、見守りがある時間に入浴するなど、主治医や家族と入浴方法自体を見直す必要があります。
浴槽内マットを使う場合は、少なくとも次の点を確認します。
- 浴槽の底の大きさや形に合っている
- 吸盤や裏面が浴槽の材質に対応している
- 設置後に手で押しても動かない
- 端が浮かず、折れ曲がらない
- 使用後に外して洗浄・乾燥できる
- 製品の説明書に、浴槽内での使用が明記されている
「浴室用」と書かれていても、浴槽内で使えるとは限りません。床用、浴槽内用、浴槽の出入り用で用途が異なるため、表示を確認してください。
浴室の床や出入口には別のマットが向いている
浴槽から出た直後や、洗い場から脱衣所へ移動する場所には、床用または出入口用のマットを使います。浴槽内用の吸盤マットを、床や脱衣所で代用しないでください。
| 使う場所 | 確認したい条件 | 避けたい状態 |
|---|---|---|
| 浴槽の中 | 浴槽内用と明記され、底面に固定できる | ずれる、端が浮く、浴槽の形に合わない |
| 洗い場 | 床材に対応し、水はけがよく、薄型 | 波打つ、排水口をふさぐ、足が沈む |
| 浴室の出入口 | 段差が小さく、裏面が床に密着する | めくれる、滑る、ドアに挟まる |
| 脱衣所 | 濡れた足でも滑りにくく、乾かしやすい | 水を含んで重くなる、床上で動く |
排水口の上にマットを重ねると水が流れにくくなるため、排水を妨げない位置と大きさにします。マットを複数枚使う場合は、すき間や重なりができないように配置してください。
購入前と設置後に確認すること
- 浴室の床、浴槽の底、出入口の寸法を測り、使う場所に合うサイズを選びます。
- 商品表示で、床用か浴槽内用か、水はけ、対応する床材、洗濯や洗浄の方法を確認します。
- 設置場所の水分や石けんのぬめりを取り、マットを平らに敷きます。
- マットの四隅と中央を押し、動いたり浮いたりしないか確認します。
- 実際に手すりなどを使って、立つ、座る、方向を変える動作を試します。
- 使用後はマットを持ち上げ、床とマットの裏側を洗って乾かします。
マットの裏側にぬめりやカビがある、吸盤が硬化している、表面がすり減っている、端が反っている場合は交換を検討します。濡れた状態でずれるかどうかを定期的に確認することも重要です。
マット以外の入浴時の安全対策
てんかんのある人では、発作の種類や意識を失うかどうかによって、浴室で必要な対策が変わります。マットだけで判断せず、主治医に「浴槽につかってよいか」「一人で入浴してよいか」「シャワーにしたほうがよいか」を相談してください。
- 一人での入浴を避け、必要に応じて家族が近くで見守る
- 浴室のドアを内側から施錠しない
- 立ち上がりや移動を支える手すりを検討する
- 熱すぎる湯や長時間の入浴を避ける
- シャンプーや石けんのぬめりを床に残さない
- 転倒時に頭をぶつけやすい硬い物や不要な物を置かない
発作が起きた場合は、無理に押さえつけたり、口に物を入れたりせず、周囲の硬い物や熱い物を遠ざけます。発作が長く続く、繰り返す、呼吸が戻らない、けがや溺水が疑われる場合は、地域の救急番号へ連絡してください。
迷ったときの選び方
まず、浴槽内に敷くのか、洗い場や出入口に敷くのかを決めます。そのうえで、用途が明記されている、濡れても動かない、端がめくれない、水はけがよい、洗って乾かせるという条件を満たすものを選びます。
浴槽内で発作が起こる可能性がある場合は、滑り止めマットを追加するだけでなく、浴槽につからない入浴方法や見守りの必要性を主治医と相談してください。マットの第一候補は、実際の浴室で動かないことを確認できた薄型の床用または浴槽内用製品です。







