てんかんの外出時は、発作が起きたときに危険な場所を避け、薬・連絡先・発作への対応方法を準備しておくことが大切です。運転、高い場所、水辺、火や熱い物の近くでは、発作の起き方や頻度に応じて特に注意が必要です。
発作の種類や持病、服薬状況によって適切な対策は変わります。主治医から指示されている注意点や発作時の薬がある場合は、それを優先してください。
外出前に準備すること
外出前は、薬を切らさないことと、発作時に周囲が対応できる状態にしておくことが基本です。
- 外出時間に必要な薬を持ち、飲む時間を確認する
- 薬は予備を含めて、直射日光や高温を避けて保管する
- 発作時の対応方法、主治医や家族の連絡先を書いたメモを携帯する
- てんかんがあることを伝えられる医療情報カードや身分証を持つ
- 発作が起きた場合の集合場所や連絡方法を同行者と決める
- 睡眠不足、疲労、強いストレス、飲酒など、自分の発作のきっかけになりやすいものを避ける
薬を自己判断で減らしたり、飲む時間を大きく変えたりすると、発作につながることがあります。旅行や長時間の外出で服薬時間が変わる場合は、事前に主治医や薬剤師へ相談してください。
外出先で特に注意したい場所
道路や駅では一人で無理をしない
道路の横断中、駅のホーム、階段、エスカレーターでは、発作による転倒や接触に注意が必要です。発作の前兆がある人は、違和感を覚えた時点で道路やホームの端から離れ、安全な場所でしゃがむ、駅員や同行者に助けを求めるなどの行動を決めておきます。
発作が予測できない場合や、過去に転倒したことがある場合は、混雑する場所や段差の多い経路を避け、可能なら同行者と移動します。
水辺や入浴施設では一人にならない
海、川、プール、温泉、浴室などでは、発作が起きたときに溺れる危険があります。水に入る場合は、てんかんがあることを把握した人に付き添ってもらい、監視員がいる場所でも一人で行動しないことが重要です。
- 海や川で一人で泳がない
- 水深のある場所や流れの速い場所を避ける
- 浴槽に一人で長時間入らない
- 体調不良や睡眠不足のときは水辺の活動を控える
- 同行者に、発作時は水から引き上げて救急要請を検討することを伝える
高所、火、熱い物の近くを避ける
脚立、屋根、展望台の端、崖の近くなどは、発作による転落につながる可能性があります。調理中のコンロ、焚き火、熱い飲み物や油の近くも、やけどの危険があるため注意してください。
発作のコントロールが十分でない場合は、高所作業や火を使う活動を一人で行わず、必要に応じて主治医に可否を確認します。
車や自転車を利用するときの注意点
発作が起きる可能性がある状態で、自己判断で運転してはいけません。自動車の運転が可能かどうかは、発作の種類、最後に発作が起きた時期、服薬状況などによって判断されます。運転を再開する場合は、主治医に相談し、関係するルールや手続きを確認してください。
自転車も、車道、交差点、坂道、線路の近くでは事故につながることがあります。発作が安定していないときは、徒歩や公共交通機関を選ぶ、同行者に付き添ってもらうなど、別の移動手段を検討します。
発作が起きたときに周囲が行うこと
発作中は、無理に押さえつけたり、口に物を入れたりしないことが大切です。けいれんがある場合は、次の順番で対応します。
- 発作が始まった時刻を確認する。
- 周囲の硬い物、刃物、熱い物などを遠ざける。
- 頭の下に衣類やバッグなどの柔らかい物を置く。
- 眼鏡や首元を締め付ける物を外し、無理のない範囲で体を守る。
- けいれんが止まったら、呼吸を確認し、可能であれば体を横向きにする。
- 意識が十分に戻るまで、食べ物や飲み物を与えず、そばで見守る。
体を押さえつける、口に指や箸などを入れる、水を飲ませる、発作中に移動させるといった対応は避けてください。発作中に無理に移動させる必要がある場合は、道路や水辺など、そこにいること自体が危険なときに限ります。
救急車を呼ぶ目安
次のような場合は、周囲の安全を確保しながら119番通報を検討します。
- けいれんが5分以上続いている
- 発作が繰り返され、意識が戻らない
- 発作後も呼吸が戻らない、呼吸が苦しそうである
- 水中で発作が起きた、または溺れた可能性がある
- 頭を強く打った、出血や大きなけががある
- 初めて見る発作である
- 妊娠中、糖尿病などがあり、発作後の状態が心配である
救急車を呼ぶか迷う場合でも、発作の長さ、発作の様子、けがの有無、意識や呼吸の状態を伝えられるようにします。発作の時間を測ることは、医療者が状態を判断する手がかりになります。
発作の前兆や発作後の状態にも注意する
発作の前に、視界の変化、においの感じ方の変化、胃が込み上げる感じ、違和感、ふらつきなどの前兆が出る人もいます。ただし、前兆がないまま発作が起きる人もいるため、前兆があることを前提にした行動だけでは十分ではありません。
発作後は、眠気、混乱、ふらつき、頭痛などがしばらく続くことがあります。意識が戻ったように見えても、すぐに一人で道路を歩いたり、入浴したり、運転したりせず、状態が落ち着くまで安全な場所で休みます。
自分に合う外出対策を主治医と決める
外出できるかどうかを一律に決めるのではなく、発作が起きる時間帯、発作の前兆、意識を失うか、転倒するか、薬の副作用があるかをもとに対策を考えます。
- 一人で外出してよい場所と、同行者が必要な場所を分ける
- 避けるべき活動と、条件付きでできる活動を整理する
- 発作時の薬を処方されている場合は、使う条件と使用者を確認する
- 運転や水泳、旅行、仕事上の高所作業について主治医に相談する
- 外出後に発作や前兆があった場合は、日時・場所・状況を記録する
まずは、次の外出で「薬」「緊急連絡先」「発作時の対応」を準備し、道路・水辺・高所・火の近くでは一人にならない計画を立ててください。発作の頻度や症状が変わった場合は、外出を続ける前に主治医へ相談しましょう。







