てんかんの身分証明カードを作るにはどうすればいい?

てんかんの身分証明カードを作るにはどうすればいい?

てんかんの「身分証明カード」は、全国共通の公的な身分証明書として発行されているものではありません。外出中に発作が起きたときに周囲へ病気や対応方法を伝える目的なら、主治医や医療機関、患者会などに相談するか、必要な情報を記載した「緊急時カード」を自分で作成する方法があります。

てんかんのカードは身分証明書とは異なる

てんかんの病名や発作時の対応を書いたカードは、本人確認のための公的な身分証明書ではありません。運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどの代わりには使えない点に注意してください。

このカードの主な目的は、本人が発作で説明できないときに、周囲の人や救急隊へ次の情報を伝えることです。

  • てんかんの診断を受けていること
  • 発作時にしてほしい対応、避けてほしい対応
  • 主治医や家族などの連絡先
  • 服用中の薬やアレルギーの有無

したがって、カードを作るときは「身分証明」よりも「医療情報カード」「緊急連絡カード」として考えると、目的に合った内容にしやすくなります。

てんかんの緊急時カードを作る方法

カードは、主治医に記載内容を確認してから作成するのが安全です。市販のカードや医療機関・患者会が用意している書式を使える場合もありますが、入手方法や書式は提供元によって異なります。

  1. カードの目的を決める
    通勤・通学中の発作への対応、旅行先での連絡、服薬情報の提示など、誰に何を伝えたいかを決めます。
  2. 主治医や医療機関に相談する
    病名の表記、発作の種類、発作時の対応、救急車を呼ぶ目安、薬の情報を確認します。自己判断で薬の中止や追加を指示する内容は書かないでください。
  3. 緊急連絡先を決める
    家族、同居人、勤務先・学校の担当者など、発作時に連絡してよい人の名前と電話番号を記載します。本人の同意を得てから掲載します。
  4. 見やすい大きさで作成する
    財布や定期入れに入るサイズにし、文字を小さくしすぎないようにします。ラミネート加工やカードケースを使うと、携帯しやすくなります。
  5. 内容を定期的に更新する
    薬、主治医、連絡先、住所、発作への対応が変わったときは作り直します。少なくとも受診先や薬が変わったときには確認してください。

カードに書く内容

カードには、発作中に本人が自分で説明できないことを前提に、短く具体的な情報を載せます。次の項目を基本にすると作りやすいでしょう。

項目 記載例・注意点
病名 「てんかんの治療中です」など、本人が希望する表現
本人情報 氏名、生年月日など。必要以上の個人情報は載せない
発作時の様子 意識を失う、手足がけいれんする、動作が止まるなど
発作時の対応 周囲の安全を確保する、時間を測る、横向きにするなど
避ける対応 口に物を入れない、無理に押さえつけないなど
救急連絡の目安 主治医から説明された基準。分からない場合は医師に確認する
緊急連絡先 氏名、本人との関係、電話番号
主治医・医療機関 医療機関名、診療科、電話番号。掲載するかは医療機関に確認する
服薬情報 薬の名前や服用状況。変更時は必ず更新する
アレルギーなど 食物・薬剤アレルギー、重要な持病がある場合に記載する

発作時の対応は発作の種類によって異なるため、一般的な説明だけでなく、本人の発作に合わせて主治医に確認してください。カードに載せる内容を家族や学校、勤務先の担当者にも共有しておくと、発作が起きたときに対応しやすくなります。

発作時の対応としてカードに載せる基本事項

発作が起きた場合は、まず本人がけがをしないよう周囲の危険物を遠ざけ、発作が始まった時刻を確認します。けいれん中に体を押さえつけたり、口の中に指や物を入れたり、飲み物や薬を無理に飲ませたりしてはいけません。

発作が治まった後は、意識や呼吸の状態を確認し、必要に応じて横向きにします。発作が長く続く、短い間隔で繰り返す、呼吸が戻らない、強いけがをしている、入浴中や水中で起きた、初めての発作であるといった場合は、救急要請が必要になることがあります。

救急車を呼ぶ具体的な基準は、発作の種類や本人の病状によって異なります。カードには「何分続いたら119番通報するか」など、主治医から説明された基準を記載してください。

カードを持つときの注意点

カードを持っていても、周囲の人が必ず発見するとは限りません。財布の中だけでなく、スマートフォンの緊急時情報、バッグの内側、服のポケットなど、本人の生活に合った保管場所を検討します。ただし、複数の場所に異なる情報を載せると内容が食い違うため、更新日はそろえてください。

薬の名前や連絡先は個人情報にあたります。紛失時のリスクを考え、住所や不要な病歴まで載せないようにします。カードを見た人が連絡してよい相手と、情報を伝えてよい範囲を家族や支援者と話し合っておくことも大切です。

また、カードがあることだけで発作への対応を任せられるわけではありません。学校、職場、介護サービスの担当者など、発作が起こる可能性のある場所では、本人の同意を得たうえで、カードの内容を使って事前に対応を共有しておくと安心です。

作成前に主治医へ確認すること

次の内容は、カードに記載する前に主治医へ確認してください。

  • 発作の種類と、通常どのくらい続くか
  • 発作中・発作後に行うべき対応
  • 救急車を呼ぶ具体的な基準
  • 発作時に使用する薬がある場合の使い方
  • 服用中の薬の正式名称と、記載してよい情報
  • 旅行、入浴、運動などで特に注意すること

発作の様子を動画や記録で残している場合は、診察時に医師へ見せると、カードに書く内容を決める参考になることがあります。カードの情報だけで病状や救急対応を判断せず、本人の治療計画に沿って作成してください。

てんかんのカードは、本人確認用の公的な身分証明書ではなく、発作時の医療情報や連絡先を伝えるための補助ツールです。まずは主治医に発作時の対応と救急要請の基準を確認し、その内容を緊急時カードに短く記載して、薬や連絡先が変わるたびに更新しましょう。