てんかん発作がある人の寝具は、発作を完全に防ぐものではありません。選ぶときは、転落や顔が寝具に埋まること、ベッド周りにぶつかることを減らせるかを基準にします。特に夜間発作がある場合は、主治医に発作の種類や起こりやすい時間帯を伝えたうえで、本人の体格や動きに合う寝具を選んでください。
てんかん発作がある人の寝具の選び方
基本は、低く、安定していて、顔を覆いにくく、周囲に危険物がない寝具です。寝具だけで発作中の事故を完全に防ぐことはできないため、ベッド周りの環境も一緒に整えます。
- 床から寝床までの高さが低いもの
- 体が沈み込みすぎない、安定したマットレス
- 大きく柔らかい枕や厚い掛け布団を避ける
- ベッドの周囲に硬い家具や尖った物を置かない
- 寝返りや発作時の動きを過度に妨げない
マットレスは「低くて安定したもの」を選ぶ
転落の可能性を考えると、一般的な高いベッドよりも、低いベッドや高さを抑えた寝床のほうが、落ちたときの衝撃を小さくしやすいと考えられます。マットレスは、体が深く沈み込みすぎず、寝返りを妨げない硬さを目安にしてください。
ただし、マットレスを床に直接置けば必ず安全とは限りません。床からの立ち上がりが難しくなったり、湿気がこもったりすることがあるため、本人が起き上がれるか、掃除や換気ができるかも確認します。
避けたい寝床
- 二段ベッドや高さのあるベッド
- 寝返りや発作時に転落しやすい狭い寝床
- 体が深く沈み、顔が埋まりやすい柔らかすぎるマットレス
- 水を使うタイプなど、発作時に体勢を変えにくい寝具
これらがすべての人に一律で使用できないという意味ではありません。発作の動き、年齢、身体の動かしやすさによって適切な選択は変わるため、迷う場合は主治医や理学療法士などに相談します。
枕と掛け布団は顔を覆いにくいものにする
枕は、頭や首を無理に固定しない、適度な高さで安定したものを選びます。大きく柔らかい枕、クッションを重ねること、顔の周囲にぬいぐるみを置くことは、発作時に顔を覆う可能性があるため避けたほうがよいでしょう。
掛け布団も、重すぎたり厚すぎたりするものより、本人が動いたときに外れやすいものが向いています。顔までかぶせる、布団を体に固定する、枕やクッションで体を囲むといった使い方はしないでください。
睡眠中に寒さで目が覚める場合は、寝室の温度や衣類を調整し、厚い寝具を重ねすぎない方法を検討します。
ベッドガードは取り付ければ安全とは限らない
ベッドガードは転落を防ぐ目的で使われますが、発作の動きによっては、体や首がすき間に挟まる危険があります。使用する場合は、製品の対象年齢や体格、マットレスとのすき間、固定状態を確認し、本人の発作の動きに合うかを医療者や専門職に相談してください。
ベッドと壁の間に体が入り込む可能性がある配置も避けます。ベッドを壁に寄せる場合は、発作時に壁との間へ頭や体が挟まらないかを確認します。
寝具の周囲も発作に備えて整える
寝具を選ぶだけでなく、転落後や発作中にぶつかる物を減らすことが重要です。次のように、寝室の配置を見直します。
- ベッドの近くから、硬い家具や尖った物を移動する
- 転落する可能性がある側に、硬い物を置かない
- 電気コードやひも類を寝床の周囲に置かない
- 床に滑りやすい物やつまずく物を置かない
- 夜間に様子を確認できるよう、照明や通路を確保する
転落時の衝撃を減らす目的で床にマットを敷く場合も、足を取られたり、マットがずれたりしないか確認してください。
横向き寝や見守り機器はどう考える?
発作後に呼吸が落ち着いていて意識が戻らない場合は、一般的な応急対応として、気道を確保しやすい横向きの姿勢にします。ただし、発作中に無理に押さえつけたり、口に物を入れたり、体を動かしたりしてはいけません。
睡眠中の発作を知らせる見守り機器には、動きや音を検知するタイプなどがあります。しかし、すべての発作を検知できるわけではなく、機器があるだけで事故や重い発作を防げるとは限りません。使う場合も、発作の記録や受診時の補助として位置づけ、アラームだけに頼らないようにします。
寝具より先に主治医へ相談したいケース
次のような場合は、寝具を買い替える前に、主治医へ相談してください。
- 夜間の発作が増えた、または発作の様子が変わった
- 発作後に呼吸が苦しそう、顔色が悪い状態が続く
- 発作中に転落したり、家具にぶつかったりしている
- 起床時にけが、舌をかんだ跡、原因不明の筋肉痛が繰り返しある
- 発作後に意識が戻るまでの時間が長くなった
- 一人で寝かせてよいか判断できない
発作が5分以上続く、短時間に繰り返して意識が戻らない、呼吸が戻らない、重いけがをしている場合は、地域の救急要請の基準に従って救急車を呼びます。本人の発作について、何分続いたら救急要請するかをあらかじめ主治医に確認しておくと、夜間にも判断しやすくなります。
迷ったときの選び方
まずは、現在の寝具で「高さ」「顔が埋まる可能性」「転落後にぶつかる物」「体が挟まるすき間」を確認します。そのうえで、次の順番で見直すと判断しやすくなります。
- 高いベッドや二段ベッドを使っていないか確認する
- マットレスに体が沈み込みすぎないか確認する
- 枕、掛け布団、クッションが顔を覆わないか確認する
- ベッド周囲の家具、コード、硬い物を移動する
- ベッドガードや見守り機器が必要か、発作の特徴を踏まえて主治医に相談する
てんかん発作がある人の寝具は、低く安定したマットレスを中心に、顔を覆う寝具や転落・挟まりの危険を減らすことが選び方の基本です。発作の種類や頻度によって適切な対策は変わるため、特に夜間発作や転落がある場合は、寝具の購入前に主治医へ具体的な発作の様子を伝えて相談してください。







