てんかん発作が車椅子で起きたとき、クッションを使ってどう対応する?

てんかん発作が車椅子で起きたとき、クッションを使ってどう対応する?

車椅子でてんかん発作が起きたときは、クッションを頭の下に敷いて頭を守ることが基本です。ただし、体を固定したり、口に入れたり、無理に車椅子から移したりするためには使いません。発作の形や本人の状態によって対応が変わるため、まず車椅子を安全に止め、周囲の危険を取り除きます。

車椅子で発作が起きたときの対応手順

  1. 車椅子を止めてブレーキをかける。可能であれば平らで安全な場所に寄せ、電動車椅子は電源を切ります。足台や周囲の硬い物、尖った物など、ぶつかる危険がある物を遠ざけてください。

  2. 頭を守るため、薄く折ったクッションや衣類を頭の下に当てる。頭が車椅子の背もたれや肘掛けにぶつかりそうな場合に、すき間を埋めるように使います。クッションを首の周りに巻いたり、顔を覆ったりしないでください。

  3. ベルトや衣類が首を締めているようなら、首元をゆるめる。発作中の手足を押さえつけたり、座位を保つためにクッションで体を強く固定したりしてはいけません。

  4. 発作が始まった時刻を確認する。可能なら、発作の様子、意識や呼吸の変化、転倒やけがの有無も見ておきます。安全を確保できる場合に限り、医療者へ伝えるための記録や動画を残します。

  5. けいれんが止まったら、呼吸を確認します。意識が戻らず、呼吸が保たれている場合は、周囲の人と協力して安全な場所へ移し、横向きにすることを検討します。車椅子から床へ移すときは、少人数で無理に抱えず、転落やチューブ類の抜去を防げる人手と技術がある場合に行ってください。

クッションはどこに、どのように使うか

クッションは、主に頭を硬い部分から守るための緩衝材として使います。専用のクッションがなければ、折った上着やタオルなど、柔らかく厚すぎない物でも代用できます。

使い方 判断
頭の下や頭の横に置く 頭をぶつけそうなときに、呼吸を妨げない範囲で使う
首の周りに巻く 首を圧迫したり、気道をふさいだりするおそれがあるため避ける
胸や腹を押さえる 呼吸を妨げるため行わない
手足を固定するために挟む けいれんを止める目的では使わない
口の中に入れる 窒息や口の中のけがにつながるため、クッションを含め何も入れない

本人が車椅子に座ったままでも頭を安全に保て、転落のおそれがない場合は、無理に移動させず見守るほうが安全なことがあります。一方、体が大きく傾いている、車椅子が動く、頭や体を強く打ち続けている場合は、周囲の人に助けを求めて安全確保を優先します。

発作中にしてはいけないこと

  • けいれんを止めようとして、腕や脚を押さえつける
  • 口にクッション、タオル、指、スプーンなどを入れる
  • 水や薬を飲ませる
  • 意識が戻っていない状態で座らせ続けたり、歩かせたりする
  • 転落しそうなのに一人で抱き上げる

発作中に舌をかまないよう物を入れる必要はありません。口の中に物を入れると、本人や介助者がけがをするおそれがあります。発作後に意識がはっきりしてから、本人の指示や主治医から決められた方法に従って水分や薬を扱います。

救急車を呼ぶ目安

次のいずれかに当てはまる場合は、発作の対応をしながら119番を検討してください。

  • けいれんが5分以上続いている
  • 発作が繰り返され、意識が戻らない
  • 発作後も呼吸が苦しそう、呼吸が戻らない、顔色が悪い
  • 頭を強く打った、出血がある、骨折が疑われる
  • 水中で発作が起きた
  • 今回が初めての発作である
  • 妊娠中、糖尿病など、特別な配慮が必要な状態がある

救急車を呼ぶか迷う場合でも、発作の開始時刻、続いた時間、呼吸の状態、けがの有無を伝えられるようにします。処方されている発作時の薬がある場合は、使用条件と方法を事前に主治医や医療者と確認してください。

普段から決めておくと安全なこと

車椅子を使う人では、発作が起きたときに「車椅子のまま守るのか」「何人で床へ移すのか」「発作時の薬をいつ使うのか」を、本人、家族、介助者、医療者で決めておくと対応しやすくなります。

クッションは、発作を止める道具ではありません。車椅子を固定し、頭を守り、呼吸を妨げず、発作の時間を測ることを優先し、危険な場合や長引く場合は119番通報につなげてください。