てんかん発作の予兆には、急な不安や恐怖、 déjà vu(既視感)、変なにおい・味、胃がせり上がる感じ、視界の変化などがあります。こうした症状は発作の始まりに起こる「前兆(ぜんちょう)」の一つで、本人だけが自覚することもあります。
ただし、予兆がないまま突然意識を失う発作もあり、症状だけでてんかんと判断することはできません。初めて経験した場合や、意識を失った場合は、医療機関で原因を調べる必要があります。
てんかん発作で起こる主な予兆
予兆の種類は、発作が始まる脳の場所によって変わります。感じ方には個人差があり、毎回同じとは限りません。
- 急な不安、恐怖、違和感
- 既視感(初めての場所なのに、以前に経験したように感じる)
- 見慣れたものが違って見える、視界がぼやける、光が見える
- 特定のにおい、味、音を感じる
- 胃がせり上がるような感覚、吐き気
- 体の一部のしびれ、感覚の変化
- 頭がぼんやりする、現実感が薄くなる
- 言葉が出にくい、聞き取りにくい
- 急なめまい、動悸、発汗
このような予兆の後に、意識がぼんやりする、反応がなくなる、手足が突っ張る・ガクガクするなどの症状へ続くことがあります。一方で、予兆だけで終わる場合や、本人は予兆を覚えていない場合もあります。
予兆と発作後の症状は違う
発作の「予兆」は、発作の始まりに本人が感じる症状です。発作の後には、強い眠気、混乱、頭痛、筋肉痛、言葉の出にくさなどが現れることがありますが、これらは予兆ではなく、発作後の症状です。
| タイミング | 起こることの例 |
|---|---|
| 発作の始まり | においや味の変化、恐怖感、胃がせり上がる感じ、しびれなど |
| 発作中 | 意識がぼんやりする、反応がなくなる、体が突っ張る・けいれんするなど |
| 発作の後 | 眠気、混乱、頭痛、筋肉痛、発作中の記憶がないなど |
予兆があれば、まず安全を確保する
予兆の後に意識が低下する可能性がある人は、予兆を感じた時点で転倒や事故を避ける行動を取ります。
- 道路、階段、浴室、火の近く、水の中などから離れ、座るか横になる。
- 可能なら周囲の人に「発作の予兆かもしれない」と伝える。
- 運転中や機械の操作中なら、無理に続けず、安全な場所で停止する。
- 発作が起きた時刻、予兆の内容、続いた時間、その後の症状を記録する。
発作中に体を押さえつけたり、口の中に物を入れたり、水や薬を無理に飲ませたりしてはいけません。けいれんが止まった後は、呼吸を妨げないよう周囲の危険物をどけ、可能なら横向きにして見守ります。
救急車を呼ぶ必要があるケース
次のような場合は、発作が自然に止まるか待たず、救急車を呼びます。
- けいれんが5分以上続く
- 発作が繰り返され、意識が戻らない
- 呼吸が苦しそう、発作後も呼吸が戻らない
- 発作中に大きなけがをした
- 水中で発作が起きた
- 妊娠中、糖尿病がある、または重い病気がある
- 初めて発作を起こした
発作が止まっても、呼吸が悪い、意識が戻らない、けがをしている場合は緊急対応が必要です。救急車を呼ぶか迷う場合も、地域の救急相談窓口や119番で相談してください。
予兆だけでてんかんとは決められない
不安感、動悸、めまい、しびれ、においの感じ方の変化は、てんかん以外でも起こります。片頭痛、低血糖、心臓の病気、睡眠不足や強い不安などが関係することもあるため、症状の種類だけでは原因を区別できません。
一方で、同じ感覚が繰り返し起こり、その後に意識が途切れる、反応がなくなる、けいれんする場合は、てんかん発作の可能性を含めて神経内科などで相談します。
受診時に伝えると役立つ情報
診断では、本人の記憶だけでなく、発作を見た人の情報が役立ちます。次の内容をメモして受診すると、医師が発作の特徴を確認しやすくなります。
- 予兆が始まった日時と、続いた時間
- 最初に感じた症状と、その後の変化
- 意識があったか、呼びかけに反応したか
- 目や頭の向き、手足の動き、けいれんの有無
- 発作後の眠気、混乱、頭痛、片側の力が入りにくい感じ
- 睡眠不足、発熱、飲酒、薬の飲み忘れなどの状況
安全を確保できる状況で、発作の様子を動画で記録できれば参考になることがあります。ただし、撮影よりも本人の安全確保と救急対応を優先してください。
てんかん発作の予兆には、感情・記憶・視覚・嗅覚・味覚・胃の感覚・しびれなどの変化があります。ただし予兆がない発作もあり、症状だけでてんかんとは判断できません。初めての症状、意識消失、長引く発作がある場合は、早めに医療機関へ相談し、5分以上続く発作や呼吸の異常がある場合は救急車を呼びます。







