てんかん発作への対応を支援するスマホアプリはあります。発作の開始時刻を測る、発作の記録を残す、家族や救急連絡先に知らせる、応急対応を確認するといった機能が中心です。ただし、アプリだけで発作を確実に検知したり、発作を止めたりすることはできません。
てんかん発作への対応に使えるアプリの主な機能
アプリを選ぶときは、「発作中に使う機能」と「発作後に役立つ記録機能」を分けて確認すると判断しやすくなります。
| 機能 | できること | 注意点 |
|---|---|---|
| 発作タイマー | 発作が始まった時刻を記録し、経過時間を測る | 本人が操作できない場合は、家族や周囲の人が使う必要がある |
| 発作記録 | 発作の日時、長さ、症状、きっかけなどを残す | 記録だけで病気の種類や原因を判断しない |
| 緊急連絡 | 登録した家族などへ通知する機能がある | スマホの電源、通信状態、通知設定によっては届かないことがある |
| 医療情報の表示 | 服薬情報、主治医、緊急連絡先などを確認できる | スマホのロック中にどこまで表示できるかを確認する |
| 発作の検知 | スマホや連携機器のセンサーで動きなどを検知する | すべての発作を検知できるとは限らず、誤検知や検知漏れがある |
特に役立ちやすいのは、発作の持続時間を測る機能と、発作後の記録機能です。発作の長さや症状は、医師が治療方針を検討するときの参考になることがあります。
発作中にアプリを使うときの優先順位
発作中はアプリの操作よりも、本人の安全確保を優先します。周囲の人が対応できる場合は、次の順番で行います。
- 時計やアプリで、発作が始まった時刻を確認します。
- 周囲の硬い物や熱い物を遠ざけ、頭の下に柔らかい物を置きます。
- 衣服の首元などをゆるめ、無理に押さえつけないようにします。
- 口の中に物や指を入れたり、水や薬を飲ませたりしないでください。
- けいれんが落ち着いたら、呼吸を妨げないように横向きにします。
- 発作が終わった時刻、呼吸の状態、意識が戻るまでの時間を記録します。
アプリが発作を検知して通知した場合でも、通知だけで発作の有無や重症度を確定しないでください。本人の様子を直接確認し、必要に応じて救急車を呼びます。
救急車を呼ぶべき場合はアプリより119を優先する
次のような場合は、アプリで記録を続けるよりも119番への通報を優先します。
- 発作が5分以上続いている
- いったん止まっても、意識が戻らないまま繰り返している
- 発作後も呼吸が戻らない、または呼吸が苦しそうである
- 発作中に大きなけがをした
- 水中で発作が起きた
- 初めて起きた発作で、てんかんによるものか分からない
- 妊娠中、糖尿病など、特に注意が必要な状態がある
救急車を呼ぶか迷う場合も、地域の救急相談窓口や医療機関に確認してください。持病としててんかんがあり、主治医から個別の対応方法を指示されている場合は、その指示を優先します。
発作記録アプリは診察前の情報整理に向いている
発作記録アプリには、発作の日時や長さ、意識の状態、体の動き、服薬状況、睡眠などを記録できるものがあります。記録は、本人だけでなく、発作を見た家族が入力できると便利です。
記録するときは、次の項目をそろえると診察で伝えやすくなります。
- 発作が始まった時刻と終わった時刻
- 意識があったか、呼びかけに反応したか
- 体のどの部分が動いたか
- 発作後に眠気や混乱があったか
- 服薬の状況、睡眠不足、発熱、飲酒など
- 転倒や出血などのけががあったか
ただし、記録された症状だけで発作の種類を自己判断したり、薬を増減したりしないでください。記録は診断の代わりではなく、主治医に経過を伝えるための補助資料です。
発作検知機能は「補助」として利用する
スマホやスマートウォッチなどで発作を検知する機能があっても、すべての発作を検知できるわけではありません。動きが小さい発作、動きのない発作、装着状態が不適切な場合などは、通知されない可能性があります。
そのため、検知機能を使う場合も、家族が近くにいる時間帯の見守りや、発作後の確認を代替するものとは考えないでください。購入や有料登録をする前に、次の点を確認します。
- 対応するスマホやウェアラブル機器
- 検知できる発作の種類と、検知できない発作
- 通知先、通知までの時間、通信が切れた場合の動作
- 月額料金や追加機器の費用
- 記録データの保存先と削除方法
- 日本語対応と、日本国内で利用できる機能
アプリを選ぶ前に確認したい3つの条件
最初から多機能なアプリを選ぶより、必要な目的を一つに絞ると比較しやすくなります。
- 目的を決める:発作時間の計測、発作記録、家族への通知のどれを重視するか決めます。
- 実際に使う人を決める:本人が操作するのか、家族が記録するのかを確認します。
- 医療機関で相談する:検知機能や記録項目が、本人の発作の特徴に合うか主治医に確認します。
アプリストアの説明だけでは、検知精度や通知の確実性までは判断できません。「発作を必ず検知する」「発作を防ぐ」といった説明があっても、医療機器としての位置づけや利用条件を確認する必要があります。
結論:発作時間の計測と記録を目的に選ぶ
てんかん発作への対応に役立つスマホアプリはあります。まずは、発作の時間を測れること、家族が記録しやすいこと、緊急連絡先を確認できることを基準に選ぶとよいでしょう。
一方、アプリの通知や自動検知は補助機能です。発作が長引く、繰り返す、呼吸やけがに問題がある場合は、アプリよりも安全確保と119番通報を優先してください。







