てんかん発作への対応トレーニングとは?

てんかん発作への対応トレーニングとは?

てんかん発作への対応トレーニングとは、発作中のけがや窒息を防ぎ、発作が長引いたときに適切な救急要請ができるようにする実技中心の訓練です。発作を止めるために体を押さえつけたり、口に物を入れたりする訓練ではありません。

基本は、発作の様子と開始時刻を確認し、周囲の危険を取り除き、発作後の呼吸や意識を観察することです。発作が5分以上続く、繰り返して意識が戻らない、呼吸が正常でないなどの場合は、救急車を要請します。

てんかん発作への対応トレーニングで学ぶこと

トレーニングでは、発作を目撃した人が慌てず、決められた順番で対応できるように練習します。主に次の内容を扱います。

  • 発作が始まった時刻と、発作の様子を確認する方法
  • 転倒や衝突を防ぐために周囲の物を移動する方法
  • 頭の下に柔らかい物を置く方法
  • 衣服をゆるめ、発作後に呼吸を確認する方法
  • 発作が長引いたときや危険な症状があるときの119番通報
  • 発作後に本人へ声をかけ、安全な場所で休ませる方法
  • 家族、学校、職場、救急隊へ伝える情報の整理

発作の種類や起こり方は人によって異なります。そのため、本人の主治医から示された対応計画や、家族・学校などで共有された個別の指示がある場合は、それを優先します。

発作が起きたときの基本的な対応手順

けいれんを伴う発作を例にすると、次の順番で対応します。

  1. 発作の開始時刻を確認する。時計やスマートフォンで、発作が始まった時刻を記録します。
  2. 周囲の危険を取り除く。机や椅子、硬い物、熱い物などを本人から離します。無理に本人を移動させるのではなく、危険がある場合に限って安全を確保します。
  3. 頭を守る。上着やタオルなどの柔らかい物を頭の下に置きます。首を締め付ける衣服は、可能な範囲でゆるめます。
  4. 体を押さえつけない。手足の動きを止めようとすると、本人や対応者がけがをするおそれがあります。
  5. 口に物を入れない。指、箸、スプーンなどを口に入れたり、舌を押さえたりしてはいけません。歯や口の中を傷つけるほか、物が詰まる危険があります。
  6. 発作が終わったら呼吸と意識を確認する。呼びかけへの反応や通常どおりの呼吸があるかを確認し、可能であれば体を横向きにして気道を確保します。
  7. 必要な場合は119番通報する。発作の時間、発作の様子、意識や呼吸の状態、けがの有無を伝えます。

発作中に水、食べ物、薬を無理に飲ませてはいけません。意識が十分に戻り、本人が安全に飲み込める状態になるまで待ちます。

119番通報が必要になる主な状況

次のような場合は、発作の終了を待ち続けず、119番へ通報します。

  • けいれんが5分以上続いている
  • いったん止まっても、意識が戻らないまま発作を繰り返している
  • 発作後も正常な呼吸が戻らない、または呼吸が苦しそうである
  • 発作中に頭を強く打った、出血した、やけどをしたなどのけががある
  • 水中で発作が起きた
  • 初めての発作である、またはてんかんの既往が分からない
  • 妊娠中、糖尿病など、特に注意が必要な状態がある

発作後に呼吸が正常でない場合は、119番の指示に従ってください。反応がなく、普段どおりの呼吸がない場合は、心肺蘇生が必要になることがあります。

トレーニングでは実技と判断の練習を行う

説明を聞くだけでなく、発作が起きた場面を想定して実際に動く練習をすると、対応する人の役割が明確になります。

実技で確認する項目

  • 本人の周囲から危険物を取り除く
  • 頭の下に柔らかい物を置く
  • 発作の開始時刻を記録する
  • 発作後に体を横向きにする
  • 呼吸と意識を確認する
  • 周囲の人に119番通報や時間の記録を依頼する

判断の練習で確認する項目

「発作が何分続いたら通報するか」「どの症状なら救急要請するか」「誰が家族や学校へ連絡するか」を、事前に決めておきます。発作中は一人で全てを行おうとせず、通報、周囲の安全確保、本人の観察を分担します。

訓練後は、発作の開始時刻、終了時刻、体の動き、意識の戻り方、けがの有無などを記録できたか確認します。実際の発作に備え、記録用紙や緊急連絡先をすぐ取り出せる場所に置くことも役立ちます。

救急薬を使う訓練は個別の指示に従う

発作が長引いたときに使う救急薬が処方されている人もいます。ただし、薬の種類、使うタイミング、投与方法、使用できる人は個別に異なります。

救急薬は、主治医や薬剤師から具体的な説明を受け、実際に対応する家族、学校職員、介護職員などが使用方法を確認しておく必要があります。処方されていない薬を使ったり、自己判断で追加したりしてはいけません。

  • どの状態になったら使用するか
  • 誰が使用できるか
  • 使用後にどの状態なら119番通報するか
  • 薬の保管場所と使用期限
  • 使用した時刻と量の記録方法

家庭・学校・職場で準備しておく内容

トレーニングを行うときは、本人に合わせた対応メモを作っておくと、担当者が変わっても対応しやすくなります。

  • 発作の種類と、普段の発作が続く時間
  • 発作時に避けるべき場所や危険物
  • 発作後に本人が落ち着くための声かけ
  • 主治医、家族、緊急連絡先
  • 救急薬の有無と使用方法
  • 119番通報を行う基準

発作の見た目だけで、てんかん発作かどうかを周囲の人が断定することはできません。初めて見た発作、いつもと違う発作、発作後の回復が遅い場合は、本人の安全を確保しながら医療機関や救急へ相談してください。

まとめ

てんかん発作への対応トレーニングは、時間を測る、危険を取り除く、頭を守る、体や口を押さえない、発作後の呼吸を確認するという基本動作を身につける訓練です。

特に、5分以上続く発作、発作の反復、呼吸の異常、重大なけが、初めての発作では119番通報を検討します。まずは本人の主治医に、発作時の対応計画と救急薬の有無を確認し、実際に対応する人と同じ手順を共有してください。