てんかん発作そのものを家庭用品で止めることはできません。ただし、発作中のけがや窒息を防ぎ、発作の長さを記録するために、タオルやクッション、時計・スマートフォンなどを使えます。発作が始まったら、物を口に入れたり体を押さえたりせず、安全確保を優先してください。
てんかん発作の対策に使える家庭用品
| 家庭用品 | 使い道 | 使うときの注意 |
|---|---|---|
| タオルやクッション | 頭の下に置き、床や家具への衝突を減らす | 口や鼻を覆わない。首を締め付けない |
| 時計・スマートフォン | 発作が始まった時刻と続いた時間を測る | 撮影は本人の安全確保を妨げない範囲に限る |
| 毛布や上着 | 発作後の体温低下や周囲の刺激を抑える | 顔にかけたり、体を強く固定したりしない |
| メモ帳・スマートフォン | 発作の長さ、症状、回復までの時間を記録する | 記録のために発作中の体を無理に動かさない |
| 緊急連絡先カード・医療情報カード | 本人の病名、服薬、連絡先を救急隊や周囲の人に伝える | 情報は現在の治療内容に合わせて更新する |
発作が起きたときの家庭用品の使い方
発作中は、用品を用意することよりも、周囲の危険を取り除くことが大切です。次の順番で対応します。
- 時間を測る。時計やスマートフォンで、発作が始まった時刻を確認します。
- 周囲の硬い物や熱い物を離す。テーブル、椅子、暖房器具、刃物などを本人から遠ざけます。
- 頭の下にタオルやクッションを置く。床や家具に頭をぶつけそうな場合だけ、頭の下にそっと入れます。
- 衣服をゆるめる。首元がきつい場合は、ボタンやネクタイなどをゆるめます。
- 可能なら横向きにする。けいれんが落ち着いた後、呼吸や唾液が妨げられないよう、体を横向きにします。けいれん中に無理に姿勢を変えないでください。
- 発作が終わるまでそばにいる。意識が戻るまで、声をかけながら呼吸の状態を見守ります。
毛布や上着は、発作後に寒がっている場合の保温に使えます。ただし、発作中に体へ巻き付けて動きを止めたり、顔を覆ったりしてはいけません。
口に入れてはいけない物と、してはいけない対応
スプーン、タオル、指、水、薬などを口に入れないでください。舌をかまないようにする目的でも、口の中に物を入れると、歯や口を傷つけたり、物を吸い込んだりする危険があります。
- 体を押さえつけて、けいれんを止めようとする
- 口をこじ開ける
- 水や食べ物、薬を発作中に飲ませる
- 人工呼吸を発作中に行う
- 意識が戻る前に立たせたり歩かせたりする
これらは発作を早く終わらせる方法にはならず、けがや窒息につながるおそれがあります。
発作の時間を測る用品が重要な理由
発作の長さは、救急車を呼ぶかどうかや、その後の診療で重要な情報になります。時計やスマートフォンで、発作が始まった時刻、けいれんが終わった時刻、意識が戻った時刻を記録してください。
記録する項目は、次のように簡単で構いません。
- 発作が始まった時刻と続いた時間
- 体のどの部分が動いたか
- 意識や呼びかけへの反応があったか
- 呼吸や顔色に変化があったか
- 発作後、普段の状態に戻るまでの時間
- 転倒、出血、頭部打撲などのけがの有無
発作の様子を動画で記録すると診療に役立つことがありますが、撮影よりも安全確保を優先してください。本人のプライバシーにも配慮し、医療者に見せる目的以外で共有しないことが大切です。
救急車を呼ぶ目安
次のような場合は、発作が収まるのを待たずに119番へ連絡してください。
- 発作が5分以上続いている
- 発作が繰り返され、意識が戻らない
- 発作後も呼吸が苦しそう、顔色が悪い
- 水中で発作が起きた、または溺れた可能性がある
- 転倒による大きなけが、頭部打撲、出血がある
- 今回が初めての発作である
- 妊娠中、糖尿病など、重い持病がある
救急車を待つ間も、口に物を入れず、危険物を遠ざけ、発作の開始時刻と呼吸の状態を伝えられるようにします。発作が5分未満でも、いつもと違う症状や回復の遅れがあれば、主治医や医療機関へ相談してください。
処方された発作時の薬がある場合
発作を長引かせないための薬が処方されている人は、主治医から説明された使い方とタイミングに従います。家庭用品で代用したり、自己判断で市販薬や他人の薬を使ったりしないでください。
発作時の薬を使った後も発作が続く場合、呼吸が苦しそうな場合、指示された時間内に改善しない場合は、処方時に説明された対応に従い、必要なら119番へ連絡します。
家庭で準備しておきたい物
発作が起きたときに探し回らないよう、次の物を一つの場所にまとめておくと対応しやすくなります。
- タオルまたは薄いクッション
- 見やすい時計、または充電したスマートフォン
- 緊急連絡先と主治医の連絡先
- 服薬内容や発作時の対応を書いたメモ
- 処方されている場合の発作時の薬
家具の角に保護材を付け、床に物を置かないことも、発作時のけがの予防につながります。入浴中の発作が心配な場合は、主治医や家族と、見守り方法や浴室での対応をあらかじめ決めておいてください。
家庭用品は発作を治すためではなく、安全を守り、発作の時間や症状を記録するために使います。まずは時計で時間を測り、周囲の危険物をどけ、頭の下にタオルやクッションを置いて見守ってください。5分以上続く発作、呼吸の異常、けが、意識が戻らない場合は119番へ連絡します。







