てんかんの発作に備えた階段の手すり対策とは?

てんかんの発作に備えた階段の手すり対策とは?

てんかんの発作に備える階段の手すり対策は、手すりを付けるだけでなく、発作中の転落を防ぐ環境づくりと、発作が起きたときの対応を組み合わせることが大切です。ただし、手すりを握れるとは限らないため、発作の種類や起きる時間帯、階段を使う頻度に合わせて対策を考えます。

てんかんの発作に階段の手すりが必要な理由

発作では、意識がぼんやりする、体が硬直する、けいれんする、突然力が抜けるなどの状態が起こることがあります。階段で発作が起きると、手すりをつかめず、転倒や転落につながるおそれがあります。

そのため、手すりは歩行時の支えとして役立ちますが、発作による転落を完全に防ぐ設備ではありません。階段を使わずに済む動線を作ることや、一人で階段を使う時間を減らすことも重要です。

階段の手すりで確認したいポイント

片側だけでなく、必要なら両側に設置する

手すりを使う側や体の向きは、人によって異なります。片側の手が使いにくい人、左右にふらつきやすい人は、両側の手すりが役立つ場合があります。

ただし、両側に設置できるかどうかは階段の幅や住宅の構造によって変わります。通行幅が狭くなりすぎないよう、福祉用具専門相談員、理学療法士、作業療法士、施工業者などに現場を見てもらうと安心です。

途中で途切れず、最後までつかめる形にする

手すりは、階段の上り口から下り口まで、できるだけ連続してつかめることが大切です。途中で途切れる、壁や柱に近すぎる、端が急に終わるといった状態では、つかみ替えや方向転換の際に不安定になることがあります。

手でしっかり握れる太さや形、滑りにくい表面であることも確認します。高さは利用する本人が自然に腕を伸ばして握れる位置に合わせ、身長や歩き方が異なる家族の基準だけで決めないようにします。

照明と色の違いで、手すりと段を見分けやすくする

暗い階段や、床・壁と同じ色の手すりは、位置を確認しにくくなります。階段全体を均一に照らし、手すりや段の先端が見分けやすい色になるようにします。

照明のスイッチが階段の両端にない場合は、暗いまま階段へ入らない仕組みも検討します。足元だけが強く光って段差が見えにくくなることがあるため、まぶしさや影がないか実際の時間帯に確認してください。

手すりの周囲に物を置かない

手すりの近くに荷物、家具、装飾品、コードなどがあると、握る動作や避難の妨げになります。階段と踊り場には物を置かず、手すりを握ったまま足を運べる状態を保ちます。

手すり以外に行いたい階段の発作対策

発作が起きる可能性がある人では、階段に近づかないことが最も確実な対策になる場合があります。特に、発作の前兆が分かりにくい、意識を失うことがある、発作後にふらつくといった場合は、手すりだけに頼らないでください。

  • 寝室や生活スペースを階段のない階に移せないか検討する
  • 階段を使う時間帯を決め、可能なときは家族や支援者が付き添う
  • 階段の上り下りが必要な用事を減らす
  • 段の上に滑りやすいマットや物を置かない
  • 靴下のまま階段を使わず、滑りにくい履物を選ぶ
  • 階段の上部・下部に安全柵を設ける場合は、開閉しやすさや避難経路を確認する

安全柵は、階段への不用意な立ち入りを減らす目的では役立つことがあります。一方で、本人が柵をまたごうとしたり、急いで開けようとして転倒したりする可能性もあるため、発作の状態や年齢に合うかを確認して設置します。

階段で発作が起きたときの対応

階段上で発作が起きた場合は、まず本人を無理に立たせたり、手すりを握らせたりしないでください。けいれん中に体を押さえつけると、本人や介助者がけがをするおそれがあります。

  1. 介助者自身が転倒しない位置を確保し、階段の下へ落ちる危険がないか確認する。
  2. 可能な範囲で、頭の下に衣類やクッションなどを入れて保護する。
  3. 周囲の硬い物や危険な物を離し、首元を締め付ける衣類をゆるめる。
  4. 口の中に物や指を入れたり、水や薬を飲ませたりしない。
  5. けいれんが止まったら呼吸を確認し、可能なら体を横向きにして気道を確保する。
  6. 発作の始まった時刻、続いた時間、体の動き、意識や呼吸の状態を記録する。

階段上で動かす必要がある場合でも、引っ張って移動させず、複数人で安全を確保できるときに限ります。発作中に無理に移動させるより、さらなる転落を防ぐことを優先します。

救急車を呼ぶ目安

次のような場合は、発作の経過を見ながら119番への通報を検討してください。本人にあらかじめ主治医から指示されている対応がある場合は、それを優先します。

  • 発作が長く続き、通常の発作時間を超えている
  • 発作がいったん止まらないまま繰り返している
  • 階段から落ちた、頭を強く打った、出血や骨折が疑われる
  • 発作後も呼吸が戻らない、意識が回復しない
  • 初めての発作、または普段と明らかに違う発作である

「何分続いたら救急車を呼ぶか」は、発作の種類や本人の治療計画によって異なります。主治医に、発作が起きた場所が階段の場合の対応、救急車を呼ぶ基準、使用する薬の有無を事前に確認しておきましょう。

手すり対策を決めるときの判断基準

歩行時のふらつきが中心なら、握りやすく連続した手すりと照明の改善が基本です。一方、意識を失う発作や突然倒れる発作がある場合は、手すりの追加だけでは不十分で、階段を使わない生活動線や付き添いを優先します。

最初に、発作が起きる時間帯、前兆の有無、意識を失うか、発作後に歩けるかを家族や主治医と整理してください。そのうえで、階段の実測と設置工事は、本人の動きを見られる医療・介護の専門職や施工業者に相談するのが安全です。