枕だけで、てんかんの発作を防いだり止めたりすることはできません。発作に備える場合は、枕を高くすることよりも、顔が枕や寝具に埋もれにくい環境を作り、発作後に呼吸を確認しやすくすることが大切です。年齢、発作の種類、寝返りのしやすさによって適した対策が変わるため、主治医の指示がある場合はそちらを優先してください。
てんかんの発作に備える枕の選び方
枕は、顔を覆いにくく、頭や首が無理な姿勢にならないものを選びます。発作中に枕が顔に密着すると、呼吸を妨げる可能性があるためです。
- 大きく厚すぎる枕や、顔が沈み込む柔らかすぎる枕は避ける
- 枕やクッションを頭の周囲に詰め込まない
- 顔の上に掛かりやすいタオル、ぬいぐるみ、重い寝具を置かない
- 枕カバーや寝具が外れ、口や鼻を覆わないよう整える
ただし、枕を急に外すと首や肩が痛くなったり、睡眠が妨げられたりすることがあります。「枕なし」や特別な発作対策枕が、すべての人に適しているわけではありません。普段の睡眠姿勢と発作の起こり方を主治医に伝え、枕の高さや種類を相談してください。
発作中は枕をどうするか
けいれんしている間は、発作を止めようとして枕を無理に抜いたり、体を押さえつけたりしません。安全に動かせる場合は、頭の下に薄いタオルなどを置いて、床やベッドに頭を強く打ちつけないようにします。
- 周囲の硬い物や角のある物を離す。
- 眼鏡など外せる物を外す。
- 首元をゆるめ、呼吸を妨げる衣服を調整する。
- 発作が始まった時刻を記録する。
- けいれんが治まるまで、口に物や指を入れない。
発作中に無理に横向きにしたり、口を開けたりする必要はありません。転落などの危険がある場合を除き、体を押さえつけないでください。
発作が治まった後の枕と姿勢
けいれんが治まった後は、呼吸を確認しながら、可能であれば体を横向きにして気道を確保します。これは、よだれや吐いた物が気道に入りにくくするための姿勢です。
横向きにした後は、枕が顔を覆っていないか確認し、必要なら枕を外すか位置を調整します。呼吸が戻らない、呼吸が苦しそう、唇が紫色になるなどの異常がある場合は、救急車を要請してください。
寝室全体で行う発作対策
枕だけでなく、寝具やベッド周りも見直します。目的は、発作を止めることではなく、転落や打撲、窒息などの二次的な危険を減らすことです。
- ベッド周辺から硬い家具や尖った物を離す
- ベッドからの転落が心配な場合は、床にマットを敷くなどの方法を主治医に相談する
- ベッドと壁の間に体が挟まるすき間を作らない
- 重い掛け布団や顔に絡みやすい寝具を避ける
- 発作の時間や様子を記録できるよう、時計やスマートフォンを近くに置く
ベッド柵は、製品や使い方によっては挟まりや転落の危険を増やすことがあります。自己判断で取り付けるのではなく、使う人の年齢や体格、寝返りの状況を踏まえて医療者に確認してください。
発作が起きたときに救急車を呼ぶ目安
次のような場合は、発作の長さを測りながら救急車を要請します。
- けいれんが5分以上続く
- 発作が繰り返され、意識や呼吸が戻らない
- 発作後も呼吸が正常に戻らない
- 大きなけがをした
- 水中で発作が起きた
- 初めて起きた発作である
- 妊娠中、または重い持病がある
発作後に意識が戻るまでの時間や、処方された救急用の薬を使う条件は、あらかじめ主治医と確認しておきます。救急用の薬は、医師から指示された量と方法で使用してください。
子どもの場合は大人と同じ枕対策にしない
乳幼児は、てんかんの有無にかかわらず、寝具による窒息や乳幼児突然死のリスクを考える必要があります。枕、クッション、ぬいぐるみなどを寝床に置くかどうかは、年齢や発達段階を含めて小児科または小児神経の医師に相談してください。
子どもが夜間に発作を起こす場合は、枕を変えるだけでなく、発作の種類、起こる時間帯、発作後の呼吸や意識の状態を記録して受診時に伝えると、対策を検討しやすくなります。
てんかんの枕対策は、発作を予防する方法ではなく、発作中や発作後の事故を減らすための環境調整です。まずは、顔が埋もれにくい寝具に整え、発作時の姿勢や救急要請の基準を家族で共有し、枕の高さや寝具の変更は主治医に相談してください。







