てんかんがある場合、電磁調理器を使うときの発作対策は?

てんかんがある場合、電磁調理器を使うときの発作対策は?

てんかんがある人でも、電磁調理器(IHクッキングヒーター)を一律に使えないわけではありません。通常のIHが発生させる磁界そのものが、てんかん発作を起こす一般的な原因だと確認されているわけではありませんが、調理中に発作が起きた場合のやけどや転倒を防ぐ対策は必要です。

電磁調理器が発作を起こすか

IHは、鍋を加熱するために磁界を利用する調理器です。テレビ画面の点滅などが発作の引き金になる「光過敏性てんかん」とは仕組みが異なり、IHの磁界が発作を起こすと一律に考えることはできません。

ただし、発作の誘因は人によって異なります。IHを使うと発作が起きる、特定の機種を使った後に症状が出るなど、本人に特有の変化がある場合は、使用を続けて自己判断せず、発作の状況を記録して主治医に相談してください。

電磁調理器を使うときの発作対策

最も重要なのは、発作が起きても熱い鍋や調理中の油に触れにくい環境を作ることです。次の対策を組み合わせてください。

  • できるだけ家族や同居人がいる時間に調理する
  • 天板の奥側の加熱口を使い、手前側に熱い鍋を置かない
  • 鍋の取っ手を手前に向けず、通路にはみ出さないようにする
  • 揚げ物や大量の熱湯など、発作時に危険が大きい調理を一人で行わない
  • 調理前に処方薬の飲み忘れがないか確認し、眠気や体調不良が強いときは調理を控える
  • タイマーや自動停止機能を使う。ただし、機能があることだけで無人調理が安全になるとは考えない
  • 床に水や油をこぼしたままにせず、足元や通路を片づけておく
  • 長袖のゆったりした衣服や、燃えやすい布を加熱口の近くに置かない

IHは鍋を外すと加熱が止まる機種がありますが、余熱や鍋の中身は熱いままです。自動停止の条件や作動時間は機種によって異なるため、取扱説明書で確認してください。

一人で使う場合に見直したい調理方法

発作が頻繁にある、前兆が分かりにくい、意識を失う発作がある場合は、調理方法そのものを変えると危険を減らせます。

  • 火や熱湯を使う工程を減らし、電子レンジや電気調理器を利用する
  • 包丁を使う作業は、発作が起きたときに危険が少ない場所で行う
  • 鍋を持ち上げず、おたまや耐熱容器を使って中身を移す
  • 調理を短時間で終えられるよう、食材を事前に切っておく
  • 発作の起きた日時、調理中だったか、前兆や服薬状況を記録する

調理を一人で行ってよいかは、発作の種類、頻度、意識を失うか、前兆があるかによって変わります。主治医には「IHを使ってよいか」だけでなく、「一人で調理してよいか」「避けるべき作業は何か」も具体的に確認してください。

調理中に発作が起きたときの対応

そばにいる人は、まず本人と熱源の安全を確保します。無理に鍋を動かしたり、体を押さえつけたりせず、危険がなければ加熱を止めてください。

  1. 周囲の包丁、鍋、熱い油などを遠ざける。難しい場合は、本人を無理に移動させず、まず自分の安全を確保する。
  2. 頭の下に柔らかいものを置き、眼鏡など外せる危険物を外す。
  3. 首元をゆるめ、発作の時間を測る。
  4. 口の中に指や物を入れたり、水や薬を飲ませたりしない。
  5. けいれんが止まったら、呼吸を妨げないよう体を横向きにして、意識が戻るまでそばで見守る。

発作が5分以上続く、発作が繰り返されて意識が戻らない、呼吸が戻らない、重いやけどや外傷がある、水の中で起きた、初めての発作であるといった場合は、救急要請を検討してください。本人に救急時の対応計画やレスキュー薬の指示がある場合は、その指示に従います。

ペースメーカーなどの医療機器がある場合

ペースメーカーなどの植込み型医療機器を使用している場合は、てんかんとは別に、IHとの距離や使用条件を確認する必要があります。機器のメーカー、医療機関、電磁調理器の取扱説明書に記載された注意事項を優先してください。

また、IHに近づいたときに動悸、めまい、機器の異常を感じた場合は、すぐに離れて使用を中止し、医療機器の主治医やメーカーに相談してください。

使用を続けるか迷ったときの判断

発作が安定していて、意識を失う発作がなく、熱源から距離を取れる環境であれば、IHの利用を検討できる場合があります。一方、発作が予測できない、調理中に意識を失ったことがある、やけどや転倒の危険が高い場合は、一人での使用を避ける判断が安全です。

判断の最初の一歩は、過去の発作について「調理中に起きたか」「前兆があったか」「意識を失ったか」「服薬や睡眠の状態はどうだったか」を整理し、主治医に伝えることです。電磁調理器そのものを避けるべきかではなく、発作時に熱源や熱い食材から安全に離れられるかを基準に考えます。