てんかんのある人には、前開きで、伸縮性があり、首や腰を締めつけない服が向いています。シャツやカーディガンは大きめのボタンや面ファスナー、ズボンやスカートはゴムウエストを選ぶと、本人が着脱しやすく、介助もしやすくなります。
ただし、服だけで発作を防ぐことはできません。発作中は無理に服を脱がせたり体を押さえたりせず、危険物を遠ざけ、首元がきつければゆるめることを優先します。
てんかんのある人が脱ぎ着しやすい服の特徴
脱着のしやすさは、本人の手の動かしやすさ、発作後の意識状態、介助者の有無によって変わります。次の特徴を組み合わせると、日常の着替えと発作後の介助の両方に対応しやすくなります。
| 服の特徴 | 選びやすい例 | 向いている理由 |
|---|---|---|
| 前が大きく開く | 前開きシャツ、カーディガン、前開きパジャマ | 頭からかぶらずに着脱でき、介助もしやすい |
| 伸びる生地 | 綿のカットソー、ジャージー素材、ストレッチ素材 | 腕や肩を動かしにくいときも引っ張りすぎずに着替えられる |
| 留め具が大きい | 大きめのボタン、面ファスナー、スナップボタン | 指先が動かしにくい場合でも扱いやすい |
| ウエストが伸びる | ゴムウエストのズボン、スカート、短パン | ベルトや細かい留め具を使わずに着脱できる |
| 首元がゆったりしている | 丸首や前開きで、首を締めつけない服 | 発作時や発作後に首元をゆるめやすい |
トップスは前開きと大きな留め具を選ぶ
トップスは、頭からかぶるタイプよりも前開きのシャツやカーディガンのほうが着脱しやすい傾向があります。肩や腕を動かしにくい人、発作後にぼんやりしている人の着替えを介助する場合にも、前開きの服が使いやすいです。
ボタンを使う場合は、小さくて数が多いものより、間隔が広く大きめのものを選びます。本人がボタンを留めにくい場合は、面ファスナーやスナップボタンの服も候補になります。
ただし、面ファスナーは皮膚や寝具に引っかかることがあります。肌に触れる位置や端の硬さを確認し、痛みや擦れが出る場合は別の留め方に変えてください。
ボトムスはゴムウエストが基本
ズボンやスカートは、ボタン、ホック、ファスナー、ベルトを何度も操作しなくてもよいゴムウエストが便利です。トイレでの着脱が必要な人は、ウエストがきつすぎず、片手でも下ろしやすいものを選びます。
裾が長すぎる服は、歩行時や発作後の移動でつまずく原因になります。床に引きずらない長さにし、必要であれば裾上げをしてください。服の締めつけを減らすことと、転倒しにくい長さにすることの両方が大切です。
避けたほうがよい服や装飾
次のような服は、本人の動きや介助のしやすさを損ねることがあるため、使用する場合は状態を見て判断します。
- 首元がきついタートルネックや細いネクタイ
- 細いひもや長いフードひもが付いた服
- 小さなボタンや細かいホックが多い服
- 硬いベルトや、外しにくいバックルがある服
- 動きにくいほど体に密着する服
- 長すぎる裾や、床に引っかかりやすい装飾がある服
これらが直ちに危険という意味ではありません。本人が安全に動けるか、発作後に介助者が外しやすいか、皮膚に当たって痛くないかを確認して選びます。
磁石付きの服は医療機器の有無を確認する
磁石を使った留め具は扱いやすい一方、植込み型の医療機器を使用している人は、機器の種類によって注意が必要です。ペースメーカーなどの医療機器がある場合は、磁石付きの服を選ぶ前に、主治医や医療機器の説明書で確認してください。
医療機器を使用していない場合でも、磁石が外れて誤飲や皮膚への刺激につながらないか、洗濯後も留め具が壊れていないかを確認します。
発作中と発作後の着替えで注意すること
発作中は、服を脱がせることよりも周囲の安全確保を優先します。体を押さえつけたり、口に物を入れたりせず、近くの硬い物や角のある物を遠ざけ、頭の下に柔らかい物を置きます。
首元がきつい場合は、襟やボタンをゆるめます。発作が終わった後は、意識が十分に戻るまで無理に立たせたり着替えさせたりせず、呼吸やけがの有無を確認します。
汗や失禁、嘔吐などで着替えが必要な場合は、意識が戻ってから、次の順番で行います。
- 本人に声をかけ、意識が戻り、着替えに応じられる状態か確認する。
- 前開きの服とゴムウエストのボトムスを用意し、室温やプライバシーにも配慮する。
- 座位が安定しない場合は、無理に座らせず、横向きなど安全な姿勢を保つ。
- 締めつけのある服や汚れた服を、痛みのない範囲でゆっくり外す。
- 着替えの後、首元、脇、腰、関節部分に食い込みや擦れがないか確認する。
発作が5分以上続く、発作が繰り返されて意識が戻らない、呼吸が苦しそう、強いけがをしている、入浴中や水中で発作が起きたなどの場合は、衣服の選び方よりも救急対応が優先されます。
本人が着る場合と介助する場合の選び方
本人が自分で着替える場合は、服の見た目だけでなく、片手でも操作できるか、座ったまま着脱できるかを試します。実際のボタンやファスナーを使い、普段の動作で無理なく扱えるか確認してください。
介助が必要な場合は、前開きで大きく開く服、袖を通しやすい服、ゴムウエストの服が候補になります。本人の腕を強く引っ張らず、痛みや関節の動かしにくさがある場合は、主治医や理学療法士などに着替え方を相談します。
| 状況 | 選びやすい服 |
|---|---|
| 本人が一人で着替える | ゴムウエスト、面ファスナー、大きな留め具の服 |
| 腕や肩を動かしにくい | 前開きで、袖が広く、伸縮性のある服 |
| 発作後に介助することが多い | 前開きパジャマ、ゆったりした服、締めつけの少ない服 |
| 歩行が不安定 | 裾が長すぎず、床に引っかからない服 |
購入前に確認したい5つの点
迷ったときは、次の項目を実際の動作で確認すると選びやすくなります。
- 頭を通さずに着られるか
- 片手、または少ない力で留め具を操作できるか
- 座った状態でもズボンを上げ下げできるか
- 首、脇、腰が締めつけられていないか
- 裾やひもが歩行や介助の邪魔にならないか
発作の種類や頻度、発作後の状態、体の動かしにくさによって適した服は異なります。特に発作後の着替えに困っている場合は、実際に困った場面を主治医や看護師、リハビリテーションの担当者へ伝えると、服の形だけでなく安全な介助方法も相談できます。
基本は「前開き・伸縮性・ゴムウエスト・ゆったりした首元」です。本人が自分で扱えるか、介助者が無理なく着替えを手伝えるかを、普段の動作で確認して選びましょう。







