てんかん発作に備える服は、首や胸を締め付けず、動きを妨げにくく、脱ぎ着しやすいものを選びます。ただし、服だけで発作や転倒を防ぐことはできません。発作が起きたら服を無理に脱がせるのではなく、周囲の危険を取り除き、呼吸を妨げないようにすることが大切です。
てんかん発作に備えた服の選び方
首や胸を締め付けない服にする
襟元がきついシャツ、ネクタイ、細いスカーフ、きついネックウォーマーなどは避け、首回りに余裕のある服を選びます。発作中に首元が苦しそうに見える場合は、可能な範囲でボタンやファスナーを緩めます。
ベルトや補正下着など、胸や腹部を強く締めるものも、発作後の呼吸や動きを妨げることがあります。締め付けが少なく、伸縮性のある衣類が使いやすいでしょう。
伸びる素材で、動きを妨げない服を選ぶ
ストレッチ素材のシャツ、ウエストがゴムのズボン、ゆったりした部屋着などは、発作中や発作後に体が動いたときも衣類が強く引っ張られにくい傾向があります。
一方で、裾や袖が長すぎる服、床に引きずる服、長いひもが付いた服は、歩行中のつまずきや周囲の物への引っ掛かりにつながることがあります。体に合った長さを選んでください。
ひもや飾りが少ない服にする
パーカーの長いひも、長いストラップ、大きな金具、硬い飾りなどは、周囲の物に引っ掛かったり、体に当たったりする可能性があります。特に、ひもが首に巻き付く形になる服は避けると安心です。
アクセサリーを身に着ける場合も、尖った部分がなく、外れやすいものを選びます。発作の起こり方や転倒の可能性によっては、発作が心配な場面だけアクセサリーを外す方法もあります。
靴は脱げにくく、歩きやすいものにする
サイズが合い、足に固定できる靴を選びます。かかとのないスリッパや、靴底が滑りやすい靴は、発作が起きていないときの転倒にもつながるため注意が必要です。
ただし、発作中に靴を無理に脱がせる必要はありません。靴ひもやストラップを外そうとして体を押さえつけることは避けてください。
季節や場面に合わせて注意する服
暑さや寒さに対応できる服を選ぶ
厚着しすぎると汗や暑さで体調を崩しやすく、薄着で体が冷えすぎる場合もあります。脱ぎ着しやすい上着などで温度を調整できるようにすると、発作後の休息にも対応しやすくなります。
暑さ、睡眠不足、発熱などが発作のきっかけになる人もいますが、誘因は人によって異なります。特定の状況で発作が起きやすい場合は、服装だけでなく、主治医から受けている生活上の注意も確認してください。
火や水の近くでは服以外の安全対策も行う
調理中や入浴中などは、衣類の選び方だけで発作時の危険を十分に減らせません。火を使う場所では、袖が広がった服や燃えやすい長い衣類を避け、可能なら一人で作業しないなど、環境そのものを見直します。
入浴についても、服ではなく、入浴方法や見守り、浴室の設備が重要です。発作の状況に応じた対策は、主治医や家族とあらかじめ決めておきましょう。
発作中は服をどう扱えばよいか
発作中は、服を脱がせることよりも、頭や体をぶつけないようにすることを優先します。服が通常の状態で、呼吸を妨げていなければ、無理に触る必要はありません。
- 近くの硬い物、角のある物、熱い物を離します。
- 頭の下に、近くにある衣類やタオルなどの柔らかい物を置きます。
- 首元や胸元が明らかにきつい場合だけ、ボタンやファスナーを無理のない範囲で緩めます。
- けいれんを止めようとして体を押さえつけたり、腕や脚を固定したりしません。
- 口の中に衣類、指、箸などを入れません。水や薬を飲ませるのも、意識が戻るまでは避けます。
- けいれんが落ち着いたら、呼吸を確認し、可能なら体を横向きにして気道を確保します。
発作の時間を測ることも重要です。服を緩めるために体を大きく動かしたり、着替えさせたりする必要はありません。
救急車を呼ぶべき発作と服装の関係
発作が5分以上続く、発作が繰り返されて意識が戻らない、呼吸が苦しそう、強いけがをしている、水中で起きた、初めての発作であるといった場合は、119番への通報を検討します。妊娠中や重い持病がある場合なども、緊急性を判断しにくいため救急相談や医療機関への連絡が必要です。
衣類を緩めても呼吸が改善しない場合は、服装の問題だけとは限りません。救急隊には、発作が始まった時刻、続いた時間、発作の様子、けがや呼吸の状態を伝えます。
本人に合う服を決めるときの確認ポイント
発作の種類や起こる場面によって、必要な服装は変わります。次の点を本人、家族、主治医などで確認しておくと、実際の場面で迷いにくくなります。
- 発作中に転倒しやすいか、体が大きく動くか
- 首元やベルトを緩める必要がある発作か
- 暑さ、睡眠不足、入浴、調理など、発作が起きやすい場面があるか
- 発作後に自分で服を調整できるまで、どの程度時間がかかるか
- 緊急時の連絡先や、服薬・発作時対応の指示を携帯する必要があるか
発作時の対応方法や救急薬の使い方を医療機関から指示されている場合は、その指示を優先してください。発作の記録を取りながら、実際に困った服の形や場面を見直すと、本人に合う服装を選びやすくなります。
選ぶ基準は、首や胸を締め付けない、動きを妨げない、ひもや尖った飾りが少ない、サイズが合っていることです。発作が起きたときは服を脱がせるのではなく、危険物を遠ざけ、頭を守り、呼吸を妨げないように対応します。







