てんかん発作がある人の靴の選び方とは?

てんかん発作がある人の靴の選び方とは?

てんかん発作がある人の靴は、発作そのものを防ぐ靴ではなく、転倒や発作後の歩行時のけがを減らしやすいものを選びます。基本は、足に合っていて脱げにくく、滑りにくい靴です。

ただし、発作の種類や起こる場面、発作後にふらつく時間によって適した靴は変わります。転倒が多い場合や、発作後に歩き出してしまう場合は、靴選びだけで対処せず、主治医や理学療法士にも相談してください。

てんかん発作がある人に向く靴の条件

次の条件を目安にすると、日常の転倒や足元のトラブルを減らしやすくなります。

  • 足に合うサイズで、つま先を圧迫しない
  • かかとが固定され、歩いても脱げにくい
  • 靴底に適度な溝があり、床で滑りにくい
  • 靴底が極端に厚くなく、足元の感覚を確かめやすい
  • つまずきにくいよう、つま先が適度に上がっている
  • 面ファスナーやゴムひもなど、本人が確実に扱える留め具がある
  • 重すぎず、歩行時に足を持ち上げやすい

靴底の「滑りにくさ」は、靴の表示だけでなく、実際に使う床との相性にも左右されます。雨の日の路面、浴室、階段などでは、滑りにくい靴でも転倒を完全には防げません。

避けたほうがよい靴の特徴

発作時のけがや、発作後のふらつきが心配な場合は、次のような靴は慎重に選びます。

  • ハイヒールや厚底など、足元が不安定になりやすいもの
  • かかとを固定できないスリッパやサンダル
  • 靴ひもが長く、ほどけたままになりやすいもの
  • 靴底がすり減っているもの
  • 硬く重く、足を引きずりやすいもの
  • サイズが大きすぎる、または小さすぎるもの

特に、発作後に意識がぼんやりする人や、歩行が不安定になる人は、脱げやすい履物を避けたほうがよい場合があります。一方で、締め付けが強すぎる靴も足の痛みや水ぶくれにつながるため、固定力と圧迫のバランスが必要です。

発作のタイプや生活場面に合わせて選ぶ

同じ「てんかん発作」でも、転倒の有無や発作後の状態は人によって異なります。靴は、実際に困っている場面に合わせて選びます。

状況 靴選びで重視する点
発作で倒れることがある 滑りにくさ、かかとの固定、つまずきにくさ
発作後にふらつく 軽さ、安定性、脱げにくさ。発作直後は無理に歩かないことも重要
発作後に歩き回ることがある 靴の工夫だけでなく、周囲の危険を減らす見守りや環境調整
足の力が入りにくい、引きずる つま先が引っかかりにくい形。必要に応じて歩行評価を受ける
外出時の安全が気になる 普段から履き慣れた靴。新品を外出当日に使わない

発作後に意識が十分に戻っていない状態では、靴が適切でも転倒することがあります。発作後は、本人の意識や歩行が戻るまで無理に立たせたり、歩かせたりしないでください。

靴を試すときの確認方法

店頭や自宅で試すときは、座った状態だけでなく、普段の歩き方に近い動作で確認します。

  1. 普段使う靴下を履き、夕方など足がむくみやすい時間帯にも試します。
  2. つま先を動かせる余裕があるか、足の指が靴に当たっていないか確認します。
  3. 立って歩き、かかとが浮いたり、足が靴の中で前後に動いたりしないか見ます。
  4. 階段や床の材質が違う場所で使う予定がある場合は、その場面で滑りやすくないか確認します。
  5. 面ファスナーや留め具を、本人が安全に締めたり外したりできるか確かめます。
  6. 帰宅後に、赤み、痛み、水ぶくれ、爪への圧迫がないか確認します。

片側の足に力が入りにくい場合や、左右で足の大きさ・形が違う場合は、左右同じ靴を選ぶだけでは合わないことがあります。歩行の状態を確認できる医療機関や、靴の専門職に相談すると判断しやすくなります。

発作への備えとして靴以外にも確認すること

靴は転倒対策の一部であり、発作を止めたり、発作中のけがを確実に防いだりするものではありません。発作時の対応方法を家族や周囲の人と共有しておくことが大切です。

  • 発作が起きたときに、周囲の硬い物や熱い物を遠ざける
  • 頭の下に柔らかい物を置く
  • 無理に押さえつけたり、口に物を入れたりしない
  • 発作が始まった時刻と続いた時間を確認する
  • 発作後は意識と呼吸、歩行の状態が戻るまで見守る

発作が長く続く、繰り返して意識が戻らない、呼吸が戻らない、転倒して強く頭を打ったなどの場合は、地域の救急相談窓口や救急車の利用を検討してください。本人に処方された発作時の薬がある場合は、医師から指示された使い方に従います。

主治医に相談したほうがよいケース

次のような場合は、靴だけで解決しようとせず、主治医に相談してください。

  • 発作後のふらつきや転倒が増えている
  • 歩き方が急に変わった
  • 片足を引きずる、足首が不安定になる
  • 靴を変えても、外出や階段で転ぶ
  • 発作の回数や長さ、意識の戻り方が変わった
  • 装具や特別な靴が必要か判断したい

発作の変化や転倒の記録があると、相談しやすくなります。発作の日時、続いた時間、倒れたかどうか、発作後に歩けるようになるまでの時間、履いていた靴を記録しておくと、靴以外の対策も検討しやすくなります。

てんかん発作がある人の靴選びの結論

まずは、脱げにくく、滑りにくく、つまずきにくい、足に合った軽めの靴を選びます。ヒールや厚底、かかとを固定できない履物、靴底がすり減った靴は避けるのが無難です。

ただし、発作後のふらつきや転倒がある場合は、靴だけでは十分ではありません。最初に、どの場面で転ぶのかと発作後に歩けるまでの時間を記録し、その内容を主治医に伝えて、靴と生活環境の両方を見直してください。