てんかん発作の職場での対応を伝えるカードとは?

てんかん発作の職場での対応を伝えるカードとは?

てんかん発作の職場での対応を伝えるカードとは、発作が起きたときに、周囲の人が慌てず対応できるよう、本人の発作の特徴や必要な対応をまとめたカードです。一般に「てんかん発作対応カード」「緊急時対応カード」などと呼ばれますが、全国共通の書式が必ずあるとは限りません。

職場で使う場合は、発作時にしてほしいこと、してはいけないこと、救急車を呼ぶ基準、家族や主治医などの連絡先を、本人と医療者が確認したうえで記載します。

職場で使う伝達カードに書く内容

カードには、発作を見た人がその場で確認できる情報だけを、短く具体的に書きます。病名だけでなく、「発作が起きたらどう対応するか」を記載することが重要です。

項目 記載例・確認する内容
本人の情報 氏名、部署、本人が希望する呼び方
発作の特徴 意識を失う、体が硬くなる、手足がけいれんする、ぼんやりするなど
発作時の対応 周囲の危険物をどける、時間を測る、発作後は横向きにするなど
してはいけないこと 体を押さえつけない、口に物や指を入れない、水や薬を無理に飲ませない
救急車を呼ぶ基準 発作が長く続く、繰り返す、呼吸が戻らない、けがをしたなど
連絡先 家族、職場の担当者、主治医など。本人が記載を希望する範囲に限る
発作後の注意 意識が戻るまで見守る、回復後も無理に移動させないなど

発作の種類や対応は人によって異なります。特に、発作時に使う薬や、医師から指示された対応がある場合は、自己判断で内容を決めず、主治医に確認してカードへ反映します。

発作が起きたときに職場の人が行う基本対応

発作を見た人は、まず安全を確保し、発作が始まった時刻を記録します。多くの場面では、発作そのものを止めようとするより、けがや窒息を防ぐことが優先されます。

  1. 発作が始まった時刻を確認する。時計やスマートフォンで時刻を記録し、発作が何分続いたか分かるようにします。
  2. 周囲の危険物を移動させる。机の角、いす、熱い飲み物、工具などを本人から離します。移動が難しい場合は、頭の下に柔らかい物を置きます。
  3. 体を押さえつけずに見守る。けいれんを無理に止めようとせず、衣服の首元などを緩めます。
  4. 口に物を入れない。指、タオル、水、薬などを口へ入れると、窒息や口の中のけがにつながるおそれがあります。
  5. 発作が治まった後は呼吸を確認する。意識が戻るまでそばで見守り、眠っているような状態では、可能なら体を横向きにして気道を確保します。

発作中に無理に声をかけ続けたり、意識を戻そうとして揺さぶったりする必要はありません。発作後に混乱したり、眠ったりすることもあるため、本人が落ち着くまで安全な場所で見守ります。

救急車を呼ぶか判断する目安

次のような場合は、カードに書かれた本人の指示を確認しつつ、救急車の要請を検討します。判断に迷う場合や、呼吸・意識に異常がある場合は、ためらわず119番へ連絡してください。

  • 発作が長く続き、なかなか治まらない
  • 発作が終わらないまま、繰り返し起きている
  • 発作後も意識や呼吸が戻らない
  • 転倒などで頭を打った、出血した、重いけがをした
  • 水中や高所、交通の危険がある場所で発作が起きた
  • 初めて見る発作で、てんかんによるものか分からない
  • 本人のカードに、救急車を呼ぶ条件として記載されている

「何分続いたら救急車を呼ぶか」は、本人の病状や主治医の指示によって異なります。カードには「長い発作」とだけ書かず、本人と医療者が決めた時間や条件を具体的に記載すると、職場の人が判断しやすくなります。

カードを職場で共有するときの注意点

カードは、本人の同意を得て、発作時に対応する可能性がある人へ共有します。病名や連絡先は個人情報にあたるため、職場全体へ一律に配布するのではなく、上司、人事・衛生管理担当者、救護担当者など、必要な範囲を本人と相談して決めます。

カードの保管場所も決めておきます。本人が携帯するほか、勤務先の救急箱や担当者の連絡先ファイルなどに、本人の同意を得て保管する方法があります。カードがある場所を、対応する人が発作の前に知っていることも大切です。

事前に職場へ伝えておくとよいこと

  • どのような発作が起きる可能性があるか
  • 発作中に周囲が行う対応と、避ける対応
  • 発作後に休む場所や帰宅方法
  • 救急車を呼ぶ具体的な条件
  • 本人への連絡が難しいときの緊急連絡先
  • 発作の記録を誰に、どのように伝えるか

職場の人に説明するときは、発作の動画を見せる必要があるとは限りません。本人が説明できる範囲で、カードの内容をもとに短い対応確認を行うだけでも、実際の場面での迷いを減らせます。

カードを作るときのポイント

カードは、発作の最中でも読めるように、文字を大きくして内容を絞ります。裏表1枚程度にまとめ、緊急時に最初に見る項目を上部へ置くと使いやすくなります。

  • 「発作が起きたら、まず時間を測る」と最初に書く
  • 「口に物を入れない」「体を押さえない」など禁止事項を明確にする
  • 救急車を呼ぶ条件を具体的にする
  • 緊急連絡先には、誰に連絡するかを記載する
  • 薬の名前や量は、主治医の指示と一致させる
  • 症状や連絡先が変わったらカードを更新する

発作の記録には、始まった時刻、終わった時刻、意識の状態、体の動き、けがの有無、発作後の様子を記載すると、主治医へ相談するときにも役立ちます。ただし、職場の人が診断名や発作の原因を判断する必要はありません。

職場向けの伝達カードはどこでもらえるか

決まった全国共通カードが指定されていない場合は、主治医やてんかんを診療している医療機関に、職場向けの対応メモを作れるか相談するのが確実です。自治体、患者会、医療機関などが書式を案内していることもありますが、使用する際は対象地域や作成元、現在の内容を確認してください。

既製のカードを使う場合も、そのまま記入するのではなく、本人の発作の特徴と主治医の指示に合っているかを確認します。市販品や一般的な記入例だけでは、個別の発作への対応を十分に示せないことがあります。

まとめ

てんかん発作の職場での対応を伝えるカードは、発作の特徴、周囲が行うこと、してはいけないこと、救急車を呼ぶ条件、緊急連絡先をまとめたものです。全国共通の書式があるとは限らないため、本人と主治医で内容を確認し、職場では必要な人に同意のうえで共有します。

まずは主治医に「職場で発作が起きた場合の対応と、救急車を呼ぶ基準をカードにまとめたい」と相談し、完成したカードを使って職場の担当者と対応を確認してください。