クッションは、てんかん発作中に頭を守る目的なら使えます。ただし、体を押さえたり、口に入れたり、シートベルトやエアバッグの働きを妨げたりしないことが条件です。運転中に発作が起きた場合は、クッションを使う前に、まず安全な場所へ車を止めます。
車内でクッションを使うときの基本
けいれんを伴う発作では、頭を座席やドアなどにぶつけないよう、クッションや折りたたんだ上着を頭の近くに置いて衝撃を和らげます。頭を持ち上げようとして、発作中の体を無理に動かす必要はありません。
- 頭の下、または頭の横に、無理なく置ける範囲でクッションを入れる
- シートベルトは外さず、体を押さえつけない
- 口の中にクッション、タオル、指などを入れない
- 発作中に飲み物や薬を飲ませない
- 車内の硬い物や、尖った物を発作を起こしている人から遠ざける
クッションを置くために首や体を大きく動かすと、かえってけがにつながることがあります。手元にない場合は、上着やタオルなど、柔らかい物で代用できます。
運転中に発作が起きた場合の対応
運転者に発作が起きた場合は、同乗者がいれば声をかけて車を安全に止めます。走行中にクッションを渡したり、運転者の体を押さえたりするのではなく、まず衝突や二次事故を防ぐことが優先です。
- 可能な範囲でハザードランプを点け、安全な場所に停車する。
- 停車後にエンジンを切り、周囲の交通や火災などの危険を確認する。
- 発作中は体を押さえず、頭をクッションや上着で保護する。
- 発作が治まるまで、発作が始まった時刻と続いた時間を確認する。
- 発作後は呼吸を確認し、意識が戻るまでそばで見守る。
車が危険な場所にある場合を除き、発作中に無理に車外へ運び出さないでください。車内にとどまることが危険な場合は、周囲の人に助けを求め、できるだけ安全な場所へ移動させます。
同乗者が発作を起こしたときの注意点
同乗者の場合も、クッションは頭を守るために使います。ただし、頭の下に入れるために体を起こしたり、シートベルトを強く締め直したりしないでください。
発作が治まった後も意識がもうろうとしている場合は、呼吸を妨げない姿勢にします。車内で姿勢を変えるのが難しいときは、無理に動かさず、顔を横向きにして気道を確保できるか確認しながら救急隊の指示を受けます。
チャイルドシートを使用している子どもは、発作中にシートから無理に外さないでください。ベルトが首を圧迫していないかを確認し、車を安全に止めたうえで、呼吸や周囲の危険を確認します。
クッションを置く場所と避ける場所
| 置き方 | 判断 |
|---|---|
| 頭の横や、動かさずに置ける頭の下 | 頭をぶつける危険を減らす目的で使用できる |
| シートベルトと体の間に厚いクッションを挟む | ベルトの働きを妨げるおそれがあるため避ける |
| 運転者の足元やペダル周辺 | ペダル操作の妨げになるため置かない |
| エアバッグの展開場所をふさぐ位置 | エアバッグの働きを妨げるおそれがあるため避ける |
| 発作中の人の体を固定するための位置 | 押さえつけにつながるため使用しない |
車内に常備する場合は、急ブレーキで飛ばないよう固定し、発作時にすぐ取り出せる場所に置きます。ただし、クッションを置いても発作そのものを防いだり、発作の治療をしたりすることはできません。
発作中にしてはいけないこと
- 手足や体を力で押さえる
- 口を開けようとする、舌をかませないよう物を入れる
- 水、薬、食べ物を口に入れる
- 発作中に無理に座らせる、立たせる、車外へ運ぶ
- 発作が終わる前に一人にする
発作後は眠ったように見えることがあります。呼吸が正常か、顔色に異常がないかを確認し、意識が戻るまで見守ります。発作の長さや症状は、医療機関に伝えるために記録しておくと役立ちます。
119番通報を考える目安
次のような場合は、救急車を要請してください。迷う場合は、発作が続いている状態で無理に移動させず、119番で状況を説明します。
- けいれんが5分以上続く
- 発作が繰り返し起こり、その間に意識が戻らない
- 発作後も呼吸が苦しそう、または呼吸が正常に戻らない
- 車の衝突や転倒などで大きなけがをしている
- 初めて起きた発作で、てんかんによるものか分からない
- 妊娠中、糖尿病など、特に注意が必要な状態がある
発作が短時間で治まり、本人がいつもの発作後の状態に戻った場合でも、主治医から決められた対応があるときはその指示に従います。
まとめ
てんかん発作の車内対策として、クッションは頭を守るためなら使用できます。一方で、体を押さえる、口に入れる、シートベルトやエアバッグを妨げる使い方は避けてください。
運転中の発作では安全な停車を最優先にし、発作の時間と呼吸を確認します。5分以上続く、繰り返す、呼吸やけがに問題がある場合は119番に通報してください。







