てんかん発作時の吐物対策シートとは?

てんかん発作時の吐物対策シートとは?

「てんかん発作時の吐物対策シート」とは、発作中や発作後に吐いたとき、寝具や床への汚れを減らすために体の下へ敷く、防水・吸水タイプのシートを指すことが多い言葉です。ただし、医療機器として全国共通の正式名称が決まっているものではなく、商品によって大きさや吸水性は異なります。

このシートは吐物を防いだり、発作を止めたりするものではありません。発作時は、シートの使用よりも、周囲の安全確保と気道をふさがない姿勢を優先してください。

吐物対策シートは何のために使うものか

主な目的は、吐物をシートで受けて、衣類・床・布団などの汚れを減らすことです。一般的には、次のような構造のものが想定されます。

  • 表面で吐物や水分を受ける吸水層
  • 裏面への染み出しを抑える防水層
  • 体の下に敷ける十分な大きさ
  • 使用後に処分または洗浄できる仕様

ただし、商品によっては防水のみで吸水性が低い場合や、吸水量に上限があります。「吐物対策シート」という名前だけで、十分な吸水量や感染対策まで備えているとは判断できません。

発作時はシートより先に安全確保を行う

発作が起きたら、シートを敷くために無理に体を押さえつけたり、口に物を入れたりしないでください。発作を止めようとせず、けがと窒息を防ぐ対応を優先します。発作時の基本的な対応は、Epilepsy Foundation「Seizure First Aid」でも案内されています。

  1. 時計を見て、発作が始まった時刻を確認する。
  2. 周囲の硬い物、熱い物、尖った物を離す。
  3. 頭の下に柔らかい物を置き、眼鏡などを外す。
  4. 衣服の首元やベルトなど、呼吸を妨げそうな部分をゆるめる。
  5. けいれん中は、体を押さえつけたり、無理に動かしたりしない。
  6. 口の中に指、タオル、スプーン、水、薬などを入れない。
  7. けいれんが落ち着いたら、呼吸を確認し、可能であれば横向きにして気道を確保する。

吐物がある場合も、口の中へ指を入れてかき出そうとはしないでください。発作が落ち着いた後に横向きの姿勢をとらせると、吐物が口の外へ流れやすくなります。体を動かすときは、首や手足を無理にひねらず、呼吸が保てることを確認しながら行います。

シートを使う場合の敷き方と注意点

シートは、発作が起きていないときにあらかじめベッドや介護用マットの上へ敷いておくと、発作中に体を大きく動かさずに済みます。発作が始まってから敷く場合は、体を押さえつけたり、けいれんを止めようとしたりしないでください。

  1. 体の下に敷く場所へ、シートを広げておく。
  2. 表面と裏面を確認し、吸水面を上にする。
  3. 頭だけでなく、肩から腰付近まで覆える位置に置く。
  4. シートが顔にかからないようにし、口や鼻を覆わない。
  5. 発作後に横向きにする場合は、シートが体を締め付けたり、姿勢を妨げたりしていないか確認する。
  6. 使用後は、製品の表示に従って廃棄または洗浄する。

シートを頭や顔の上からかぶせたり、体を包んで固定したりする使い方はできません。吐物がシートからあふれた場合や、呼吸が苦しそうな場合は、汚れの処理よりも気道と呼吸の確認を優先します。

選ぶときに確認したい項目

購入や備蓄を考える場合は、名称だけでなく、次の項目を商品表示で確認してください。

確認項目 見るポイント
大きさ 使用するベッドやマットの幅、体の下を覆える範囲に合っているか
吸水性 吸水量の表示があるか。表示がない場合は、どの程度の吐物に対応できるか断定しない
防水性 裏面への染み出しを抑える構造か
使い捨てか洗濯可能か 廃棄方法、洗濯方法、使用回数の目安を確認する
ずれにくさ 発作時にシートが大きく移動しないか。ただし、固定具で体を拘束する製品は別の安全確認が必要
保管方法 本人が過ごす場所の近くに、取り出しやすく保管できるか

吐物の量や発作の起きる場所は毎回同じとは限りません。そのため、シートだけで対応しようとせず、交換用のシート、使い捨て手袋、ビニール袋、清拭用品などをまとめて準備すると、使用後の処理を行いやすくなります。

救急車を呼ぶべき発作の目安

次のような場合は、シートの準備や汚れの処理を続けず、119番通報を検討してください。

  • 発作が5分以上続いている
  • 発作が繰り返され、その間に意識が戻らない
  • 発作後も呼吸が戻らない、または呼吸が苦しそう
  • 発作中に大きなけがをした
  • 水中で発作が起きた
  • 本人にとって初めての発作である
  • 妊娠中、糖尿病など、特別な事情がある

救急車を呼ぶか迷う場合でも、発作の開始時刻、けいれんの長さ、意識や呼吸の状態、吐物の有無を伝えられるようにしてください。判断基準は地域の救急案内や主治医から受けている指示があれば、それを優先します。

まとめ

てんかん発作時の吐物対策シートは、吐物を受けて寝具や床の汚れを減らすための補助用品です。発作を止めるものではなく、顔を覆ったり体を固定したりするためにも使いません。

備えるなら、吸水性、防水性、大きさ、処分方法を確認し、使用時は安全確保、発作時間の確認、発作後の横向きの姿勢を優先してください。発作が5分以上続く、呼吸が戻らない、発作が繰り返すなどの場合は、119番通報が必要です。